akのもろもろの話

大人の漫画読み

2020-01-01から1年間の記事一覧

漫画/「弟の夫」田亀源五郎

(田亀源五郎「弟の夫」全4巻) 弥一と小学生の娘・夏菜(カナ)が二人で暮らす家に、マイクと名乗るカナダ人の男性がやって来た。 マイクは、弥一の双子の弟・涼二の結婚相手だった。 カナダでは同性婚は合法だ。 「パパに双子の弟!?」「てか、男同士で…

漫画/「アガペー」真鍋昌平

(真鍋昌平「アガペー」) 2019年に発売された真鍋昌平の「アガペー」は、四つの短編作品が収録されていてどれも面白いのだが、表題にもなってる「アガペー」はドルオタいわゆるアイドルオタクを描いた作品だ。 ここに登場する二名のオタク、ひろたんと…

漫画/「リアル」⑮ 井上雄彦

(井上雄彦「リアル」15巻) 車イスバスケットボールを描いた漫画「リアル」の新刊が出た。なんと6年振りだ。 かつてバスケをよく知らなかったあたしは名作「スラムダンク」を読んで、バスケのルールや用語を覚えたものですよ。 だから車イスバスケという…

漫画/「波よ聞いてくれ」⑧ 沙村広明

(沙村広明「波よ聞いてくれ」8巻) 鼓田ミナレ(27歳)は札幌のスープカレー屋「ボイジャー」の店員だが、ひょんな事から地元FM局「藻岩山ラジオ」でラジオパーソナリティーとしての道を歩み始めた。 とは言え、ラジオは週1回・50分、カレー屋は週6…

漫画/「サターンリターン」鳥飼茜

(鳥飼茜「サターンリターン」既刊4巻) まずはザックリとしたあらすじですが、主人公の加治理津子(30才)はデビュー作以降、新作がまったく書けない小説家でして、今は元担当編集者で妻のいた野田(36才)とすったもんだの末に結婚をして専業主婦のよ…

漫画/「結ばる焼け跡」天瀬シオリ

(天瀬シオリ「結ばる焼け跡」既刊2巻) 「ここは今から倫理です」の作者が描いてるから読もうと思ったのだけど、グウ(ぐうの音)戦争物か? とちょっとドン引き(笑) 1945年に太平洋戦争が終ってから戦後75年です。 当然ながらこの作者も戦後世代でしょうけ…

漫画/「北北西に曇と往け」入江亜季

(入江亜季「北北西に曇と往け」既刊4巻) この作品の舞台はアイスランドである。 北欧のアイスランドは小さな島国で、その面積は北海道と四国を合わせた程度しかない。 火山と氷河の島と言われるアイスランドには土がなくそのほとんどが溶岩で植物も少ない…

漫画/「人の息子」② あのあやの

(あのあやの「人の息子」2巻) この作品は、31歳独身の漫画家・鈴木旭が児童養護施設で暮らす9才の高嶺くんの里親になる物語なのだが、作者が里親制度について丹念に調べて描いているのがとても好感が持てる。 それと高嶺くんが実にかわいらしく描けて…

漫画/「ゴールデンカムイ」㉓ 野田サトル

ウーム、インカラマッで始まりインカラマッで終わるこの巻。 すべての登場人物がクライマックスへと向かって足並みを揃えていくようで秀逸でございましたよ。 (野田サトル「ゴールデンカムイ」23巻) 自分の子をインカラマッが身ごもっていると知った谷垣…

漫画/「水は海に向かって流れる」③ 田島列島

10年前、W不倫の末に駆け落ちして帰って来ない榊さんの母親に会うため、直達は榊さんと海辺の町を訪れた。母親は新しい家族と幸せに暮らしていた。 世の中は広いよーで狭いっつーか、不思議な縁で出会った二人の物語も完結編です。 (田島列島「水は海に向か…

漫画/「血の轍」第9集 押見修造

家に乗り込んで来た伯母さん夫婦の追求に対し、遂にしげるを崖から突き落としたと白状した静子ママ。 修羅場と化した長部家の居間(´д`|||) (押見修造「血の轍」第9集) この作品のテーマはいわゆる毒親で、母親と中学二年になる息子の仲が良すぎてチョット…

漫画/「アンダーニンジャ」花沢健吾

太平洋戦争敗戦後の日本に、GHQが命じたのは陸海軍と内務省に対する「忍者」人員リストの提出及びその出頭であった。 戦争中、連合国を最も悩ませたのは「忍者」だったのである。 圧倒的科学力を誇るナチス・ドイツの科学者と日本の「忍者」の確保は、アメリ…

漫画/「きのう何食べた?」⑰ よしながふみ

「きのう何食べた?」は2DK男二人暮らし。食費は月3万円。筧史朗(弁護士)と矢吹賢二(美容師)の食生活をめぐる物語。 メニューは「サンマのガーリック焼き」「フレンチトースト」「レタスしゃぶしゃぶ」「鶏手羽先のポトフ」etc・・・ (よしながふみ「…

漫画/「後ハッピーマニア」安野モヨコ

(安野モヨコ「後ハッピーマニア」1巻) 1990年代に連載された安野モヨコの「ハッピーマニア」は、大人の女性を読者対象にした、お洒落で軽妙なタッチで恋愛や女性の生き方を描いた作品だ。 1998年にはシゲタ役を稲盛いずみさんがフクちゃん役を藤…

映画/「黒い雨」

(「黒い雨」1989年/今村昌平監督/123分) 昭和20年8月6日の朝、広島市に原爆が投下された。 閑間重松(北村和夫)は駅で被爆し顔に軽い傷を負い原爆病であると診断されていたが、妻のシゲ子(市原悦子)は自宅にいて怪我もなく、姪の矢須子(田中…

漫画/「イサック」⑨ 作・真刈信二 画・DOUBLE-S

(作・真刈信二 画・DOUBLE-S「イサック」9巻) 「イサック」の舞台になってるのは17世紀の神聖ローマ帝国で、ちょいとマイナーな三十年戦争が主題である。 物語はボヘミアにおけるプロテスタントの反乱をきっかけに勃発した、三十年戦争の第一期「ボヘミ…

漫画/「ルーヴルの猫」松本大洋 感想

2020年、松本大洋氏「ルーブルの猫」の英語版がアメリカの漫画賞「アイズナー賞」の最優秀アジア作品賞を受賞! ルーブル美術館とお猫さまたちの物語。 (松本大洋「ルーヴルの猫」上下巻) パリのルーヴル美術館は世界で最も入場者数の多い美術館で毎年…

漫画/「インハンド」04 朱戸アオ

(朱戸アオ「インハンド」4巻) 自然豊かな山あいの村・久地木村へフィールドワークに出た紐倉一行である。 山でトラップを仕掛けて野ねずみを捕らえ寄生虫を調べると言う紐倉は「新種の吸虫を見つけるぞ」とか楽しそうだ。 潤月は民宿の主人に教わりながら…

漫画/「不滅のあなたへ」⑬ 大今良時

(大今良時「不滅のあなたへ」13巻) 不死身の体を持ち、どんな姿にもなれ、どんな物でも作り出す不思議な力を持った存在「フシ」。 フシを作り出し時にフシに助言を与え時に傍観しながら、今だ明かされない世界の理を知る正体不明の存在「観察者」。 そし…

漫画/「ゴールデンカムイ」㉒ 野田サトル

(野田サトル「ゴールデンカムイ」22巻) 遅ればせながら6月19日発売の「ゴールデンカムイ」22巻の感想をば。 世の中がコロナや豪雨災害で大変な時ですが、あたしにも家族の病気という試練が訪れて先月からなかなかブログが更新できませぬ。 まあそんな…

漫画/「私の少年」⑧ 高野ひと深

(高野ひと深「私の少年」8巻) 以前書いた感想はコチラでございます。 www.akirainhope.com 真修は高校生になったのお。 「私の少年」は18才も年の離れた大人の女性と少年の交流を描いたものだ。 二人が出会った時は聡子は30才で真修はまだ小学生だった…

漫画/「町田くんの世界」安藤ゆき

(安藤ゆき「町田君の世界」全7巻) 町田くんは16才の男子高校生。 地味で物静かなメガネ。 見た目は勉強できそうだけどできない&運動苦手。 真面目だけど要領が悪くて不器用。 という全然モテ要素のない男の子。 でもなぜだか彼は周りの人たちから愛さ…

漫画/「人の息子」あのあやの

(あのあやの「人の息子」既刊1巻) 鈴木旭(31才・独身・漫画家)には3年前の雪の日に忘れられない思い出があった。 その頃子供好きの鈴木は保育士をしていたのだが、一人の園児の母親がいつまで待っても迎えに来なかったのである。 5才の男の子高嶺く…

漫画/「亜人」⑯ 桜井画門 

(桜井画門「亜人」16巻) 亜人はどう生まれたのか? 佐藤さんとの決着はつかないまま、舞台はいまだに入間基地である。 基地の内部は、永井くんが起こしたフラッド現象により大量のIBMが放出されてビックリなのに、嬉々として同調した佐藤さんのせいで、禍…

漫画/「血の轍」第8集 押見修造

(押見修造「血の轍」第8集) たぶん静子ママのセーラー服姿が表紙の第8集。 「血の轍」は中学2年の静一と母親の静子との母子関係を描いた作品で、母親はいわゆる毒親である。 母親は第①集で登場した当初は中学生の子がいるとは思えないほど若く可憐に描…

漫画/「夏目アラタの結婚」乃木坂太郎

(乃木坂太郎「夏目アラタの結婚」既刊2巻) 世の中には色んな形の結婚があると思うけど、ここに登場するのは獄中結婚でして、なんとヒロインは死刑囚なのだ。 たとえ死刑囚であっても婚姻の権利はあるのだが、死刑囚と結婚する人の心理ってフツーの人には…

映画/「泥の河」

懐かし映画をひとつ。 (「泥の河」1981年/小栗康平監督/105分) 原作は宮本輝さんの同名小説。 昭和31年の大阪で、川の側でうどん屋を営む家の男の子と対岸に繋がれた廓船に住む姉と弟との出会いと別れの物語だ。 最近家でチョイ古めの映画を好ん…

本/前髪の惣三郎(司馬遼太郎「新選組血風録」より)

(司馬遼太郎「新選組血風録」) 「新選組血風録」は司馬遼太郎さんが60年代に書いた傑作で新選組をテーマにした短編集だ。 各話は新選組に実在をしてた人や架空の人を主人公に据えた群像劇で、新選組に巻き起こるドラマに定番キャラの土方歳三や沖田総司…

映画/「彼らは生きていた」

新型コロナで映画館に行く事もなくなったけど、最後に映画館に行ったのはいつだったかしらと思い出してみる。 この映画を見た時は確かトイレットペーパーが店頭からなくなってしまったんだよね。 あの騒ぎは何だったのだろうか。 (「彼らは生きていた」/2…

漫画/「アマネギムナジウム」古屋兎丸

(古屋兎丸「アマネギムナジウム」既刊6巻) 球体関節人形は関節部が球体によって形成された人形で、自在なポーズを取らせる事ができるのが特徴だ。 何より驚くのは人形とは思えない極めて人間に近い精巧さとその美しさで、肌の質感から瞳から毛髪から人形の…