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漫画大好きakの覚え書帖

漫画/「監視官常守朱」三好輝 

アニメが面白いので「PSYCHO-PASSサイコパス」一期のコミカライズを読んでみました。

2012年にジャンプスクエアに連載された作品です。

 

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(三好徹「監視官常守朱」全6巻)

西暦2112年の日本ではシビュラシステムの導入により、人間の心理状態や性格的傾向を計測し数値化する事ができるようになっていました。

ここではあらゆる人の心理傾向がすべて記録・管理されていてこの測定値を人々は「PSYCHO-PASS(サイコパス)」という俗称で呼んでいました。

日本国民はシビュラシステムに強く依存し、PSYCHO-PASSの測定値はその人間を判断する基準となり、有害なストレスから解放され、その人に最適で幸福な人生を送る為の指標ともなっていたのです。

 

その中で、犯罪に関しての数値は「犯罪係数」として計測され、たとえまだ犯罪を犯していなくても犯罪係数の高い人間は「潜在犯」として裁かれてしまうんです。

その人が善人か悪人かは数値を見ればすぐわかるというね。

シビュラシステムはこうやって人間を監視する事により社会の秩序を保っているわけなんです。

そうして人々はそれに対して何の疑問も抱いていません。

 

ヒロインの常守朱は、厚生省公安局刑事課の新人監視官として配属されます。

10年に一人の逸材と言われるほど優秀な彼女は、見た目は可愛いお嬢さんなんですが、正義感が強く信念を持った人物として描かれています。

また新人であっても自分の意見ははっきり言いますね。

なので先輩監視官の宜野座伸元に対してもそれは違うと思えばスゲーはっきり言うんですよ。

 

監視官て何を監視するのかと言うと、執行官を監視するんですよね。

犯罪係数が規定値を超えて社会からは人格破綻者にされてしまった人は、本来なら潜在犯として隔離されるべきところなんですが、執行官としてなら社会に出る事が許されるのね。

つまり、犯罪者は犯罪者に狩らせようっていうね、それが執行官なんです。

執行官は犯罪係数が高いゆえに、犯罪という物を理解していて犯罪者の心理とか行動を予測できるから犯罪者を追うのには最適だろうっていう事なんだけど。

なんかやなシステムですね。

そんな朱の部下となった執行官たちは、狡嚙慎也、征陸智巳、縢秀星、六合塚弥生という漢字の難しい4人です。

あと先輩監視官の宜野座さんを入れて公安局刑事課一係の面々となります。

まあ近未来の警察群像劇と新任監視官の成長物語なんですよね。

 

この作品のキーアイテムは、シビュラシステムと直結している「ドミネーター」という特殊な銃なんです。

それを被疑者に向けるとその人の犯罪係数が瞬時に表示されるの。

犯罪係数が規定値に満たないとロックされて、規定値を超えると確保しろとか排除しろとか音声がご案内してくれるのね。

だから音声通りに撃てばいいだけで特別な操作はいらないんです。

ただエリミネーターモードという殺人銃に切り替わると、撃たれた人はボコボコに膨れ上がって破裂するというグロテスクな様相を呈します。

殺されるというよりも細胞から消滅させられる感じ。

すごい血しぶきなので後が大変だと思うんですけどね。

 

この社会では、犯罪は病気なんですよね。

更生保護施設はあるけど裁判所や刑務所はもうないのです。

執行官は現在の警察のように犯罪者を逮捕して罪を償わせるのではなく、対象者が治る見込みがあるかそうでないかをドミネーターで判断してるわけなんです。

執行官て犯罪を解決する能力を認められてはいるんですけど、犯罪係数が高いから犯罪者に走ってしまう可能性もあると考えられているんです。

そのため常に厳しく監視されていて、監視官が一緒でないと外出の自由もないんです。

それでも潜在犯にとっては執行官になる事は唯一の社会復帰の道なんですよね。

また狡嚙のようにかつては監視官だった人が執行官に降格になった例もあります。

捜査にのめり込み過ぎて犯罪係数が上昇して戻らなくなってしまうんです。

犯人の行動を追えば追うほど、思考を知れば知るほど犯人の心にリンクしてしまうってもうどうしたらいいんだろね。

けれどなんかぶっきらぼうで一番怖そうな狡嚙が一番に朱の理解者となってくれるのです。

朱も狡嚙と行動を共にしながら、彼にフォローされたり励まされて成長していきます。

ただしこの作品は恋愛要素はまったくないので恋に発展したりはしません。

朱はそういうチャラチャラした子じゃないのね。

いつも真摯に仕事に取り組んでる。

そしてPSYCHO-PASSが濁りにくい精神を持っているというのは、常に心が安定していてバランスが取れているのがいいのでしょうか。

朱と比べると、宜野座さんのメンタルはぼどぼどですね。

いつも葛藤してる。

でも私は人間的で好きだな、ギノ。

 

そんな彼らの前に「免罪体質者」と呼ばれる、犯罪者なのに犯罪係数が計測されない人間が現れます。

ドミネーターの執行対象にならない人間の登場は現行のシビュラシステムの存在を揺るがすような大変な事態です。

その男、槙島聖護はこれまでの事件の裏で暗躍し、シビュラシステムの正体を暴こうとしていました。

 

この作画は「憂国のモリアーティ」の方ですので、アニメにとても忠実に描かれていて完成度が高いです。

もうね、読みながら脳内で声優さんの声が再生されてくる。

コミカライズってこうでなくちゃね。

まあアニメと比較すると、漫画には色も音もありませんから。

でも漫画の良さがあるはずで、それは自分のペースでじっくり読める事かな。

言葉って耳で聴くと理解してたつもりでも、けっこう聞き流してしまったり内容がよくわからなかったりしますから。

漫画だと意味もわかるし、人物の心理描写もされてて、そこはいいかなって思いました。

 

PSYCHO-PASSの世界観が好きな方は多いと思いますが、ああいう監視社会って本当に怖いと思います。

私たちは住みたいところで生活して、仕事をする権利があるし、自分の人生をどうやって生きるのかを決める自由があるんです。

シビュラシステムはこうした事と真っ向から対立する排他的で差別的なものです。

だから槙島のように数々の凶悪な犯罪を犯しながらも、一貫してシビュラの在り方に疑問を突き付けて行く人物には魅力を感じてしまいますね。