akのもろもろの話

いつも漫画ばかり読んでた「漫画とかの覚え書帖」

アニメどろろ 百鬼丸とどろろの旅の結末が気になるのだ

アニメ「どろろ」が面白いです。

原作はもちろん漫画の神様・手塚治虫の名作漫画ですが、50年振りの再アニメ化なんですって。

すごい古いのね~

そんな半世紀も前の作品を現代に蘇らせるってすごい事よね。

 

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やっぱ50年振りだから何やら気合のような物が感じられて、作画もとてもきれいだしOPもカッコいいんです。

でも主人公の百鬼丸が現代風にアレンジされてて、イケメンのサイボーグみたいになってたのには驚きました。

なんかねえ、無表情な人形みたいで虚無的な雰囲気を醸してる。

貧しい服に身を包んだ美しいドールみたいなのね。

言葉も喋らないので何考えてるのかわからないけど、妖怪が現れると本能的に戦っちゃう。

カッコいいです。

 

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原作でも百鬼丸はカッコいいですが、もっと人間的です。

百鬼丸というキャラクターは身体の48か所が欠損してるというとんでもない設定で、ある種の障害者なわけです。

かつては作中で差別用語が使われていると障害者団体などから抗議を受けたと聞きますが、百鬼丸が侮蔑されたような世界は当時の世間では一般的だったんだろうと思います。

これまでは普通に使っていた言葉が差別用語だから使えなくなるというのはよくある事です。

言葉は時代と共に変遷していくから、使われなくなった言葉は消えて行きます。

でもそこに差別があるなら言葉だけ禁止しても真に差別はなくならないと思うのですが。

手塚治虫がこの作品を描いた時代と今とではどうなんでしょうか。

今では避けて通れないハードルが多くあると言うのに、この時代に再びどろろを持ってきたのはすごい事です。

 

暗い世相に妖怪や死霊が跋扈し人の情念が渦巻く

とは言え、この作品には単なる妖怪退治の漫画にはとどまらない人間の情念の炎が燃えるような恐ろしさを感じます。

そもそも百鬼丸の父である醍醐景光が自分の野心の為魔物に願かけして、天下取りの代償に生まれてくる我が子の身体をあげるよなんて言い出したのが発端なのです。

魔物に身体の48か所も奪われて生まれてきた赤ん坊は捨てられて川に流されてしまいます。

だから百鬼丸にとっては自分は親から捨てられたのだと言う悲しい思いがずっとあるのね。

 

この作品の時代は室町から戦国にかけて、舞台は朝倉氏の名が出たり不知火を見たりするので北陸や能登のあたりです。

侍は戦に明け暮れ、百姓は虫けらのように殺され、たとえ生き伸びても餓死を待つだけでした。

中には飢えに耐え兼ね食人する者さえいたのです。

そんな暗く陰惨な世相の中で、自分の身体を取り戻す為に旅に出た百鬼丸は48の魔物を倒さねばなりません。

百鬼丸は義手の中に刀が仕込んであったり、義足の中に爆薬や薬品(硫酸みたいな物でしょうか)が仕込んであるという、戦闘に特化したとてつもない異形の者なのです。

 

どろろの悲劇性

アニメではそんな百鬼丸どろろがかいがいしくお世話してますね。

アニメでは百鬼丸は喋らないので、どろろが一人でずっと喋ってて可愛らしいです。

二人の関係性も原作とは変わってるのですが、小さいのに一人こそ泥として生きて来たどろろは、けっこう無鉄砲でね強情だし命知らずなのよね。

どろろはまさに乱世が生んだ悲劇的な子なんですよね。

どろろの両親が登場する「無残帳の巻」では、子分に裏切られたうえ片足が不自由になってしまった野盗の父と母と三人で何年もあてもなく彷徨うのね。

どろろが父に「地獄ってこんな所かい?」って聞くと「地獄なんてもっともっとましな所だ」って答えるんです。

母親が炊き出しの粥をもらう器がないので、熱い粥を自分の手の平にもらってどろろに与える場面もいいんですが、私はこの父親が死んでしまう場面も好きなんです。

それは通りすがりの牛車から女の人が、かわいそうな子供がいるからこれをやっておくれってどろろに饅頭をくれるんです。

どろろは喜んで食べようとするんだけど父親は制止するんです。

人が飢え死にしそうな時にうまいもん食ってるのはお前ら侍だ、と言って。

そんな奴から施しは受けない、と言ったもんだから無礼者だと殺されてしまうんです。

最初は男の矜持か~と思ったけど違うね。

あれはどろろに人としての尊厳をなくしてはいけないと教えたんだと思うんです。

そしてそれは、ああいう状況下に置いてはとても難しい事なんですよね。 

だから、どんなにみじめっぽくたって俺は人間なんだぞ!って必死に叫ぶどろろは素敵だと思います。

 

妖怪だけでなく弟を殺したり父と対決したり因果な巡り合わせ

でも、異形の者である百鬼丸と手癖の悪いどろろは、行く先々で忌み嫌われここから出て行ってくれと追われてしまいます。

地獄変の巻」では、村の為に命がけで戦った百鬼丸を化け物扱いして追い出そうとする村人に、どろろが怒って食ってかかったりして泣かせます。

戦い続けるしかない因果な身の上により、実の弟を殺め父親から憎悪される事態に陥ってしまった百鬼丸は絶望します。

それでも宿命に負けず、ただ懸命に生きる姿は人が生きる事の意味を感じさせて胸にせまるのです。

 

 

いつまでも二人の旅は続くかのようですが、なんか原作は唐突に終わっちゃうね。

 アニメではアレンジされてて12の魔物と戦えばいいらしい。

て事は百鬼丸は目出度く人間になれるのだろうか。

ラストが気になりますが、原作漫画も素晴らしいです。