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漫画大好きakの覚え書帖

映画/「プロメア」4Ⅾ

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(「プロメア」4D版/2019年日本/今西洋之監督)

先月「プロメア」の4D版を見ましてね、6月に2Dの感想を書いたのだけど、あまりの薄っぺらな感想を恥じ思わず削除したれと思った今日この頃。
もう私ったら何を見てたのかしら?
できればなかった事にしたいけど、自分への戒めとしてそれはそれで残しておく事にし今回改めて感想を書く次第である。

前置き長くなっちゃったけど、前回私が最も難儀したのが冒頭のバーニングレスキューとマッドバーニッシュの戦闘シーンである。
どうしてあんな色なのかしらと今回も思った。
薄い水彩みたいなピンクや水色といった独特の色彩と、マーベルチックな絵柄が早い展開ですごい速度で絵が動くので、老化の始まった私の脳内の処理速度が全然追いつかなかったというね。
しかしながら、これが4DXと相性抜群でして、またすでに一度洗礼受けてますから、今回はまったく気にならず目もチカチカせず私でも楽しめたのだ。
これはまあ平たく申せば消防隊が大活躍する作品なので、バーニングレスキューが消火活動するとこでは、水出過ぎじゃね?と思うほどにミストを受けて、風に吹かれ、劇場内がフラッシュし火事場とはさもありなんと思うほどの臨場感だったのである。
これまで4DX見たのは2回だけで洋画だったけど正直ちっともいい印象がなかった。
ガタガタ揺れる座席や背中をドンドコ押されたり水までかけられてさ、これじゃ映画に集中できないよーと思ったものだ。
大事なのは映画作品と4DXのマッチングという事であって「プロメア」に関しては4D版のが断然良い。

さて映画は、地球上にバーニッシュと呼ばれる炎を操る新人類が出現し世界が大炎上、地球の人口は半分になってしまった30年後という設定である。
一部の攻撃的なバーニッシュは「マッドバーニッシュ」と名乗り放火と犯罪を繰り返すテロリスト集団となり世界を危機に陥れていた。
対バーニッシュ用に結成された高機動救命消防隊「バーニングレスキュー」の新人隊員ガロは冒頭の激しい戦闘で、マッドバーニッシュのリーダーのリオを捕える事に成功する。
プロメポリスのトップとして君臨するクレイにその働きを表彰されたガロはとっても喜ぶ。
なぜならクレイは、ガロが子供の時火事から助け出してくれた恩人でありヒーローだったからだ。
ところが、リオたちは捕えられたバーニッシュを救出するためにわざと捕まったのであって、炎で基地を焼き尽くし仲間を連れて逃走してしまうのだ。
ガロは彼らの隠れた場所を突き止めるが、そこで目にしたのは追いつめられながら懸命に生きようとするバーニッシュたちの姿だった。

とまあこんな感じの出だしだが、この作品は今西洋之監督と「劇団☆新感線」の中島かずき氏が脚本を手掛けており、なるほど新感線らしい見せ場で一杯だ。
冒頭でガロが見せる歌舞伎さながらに見栄を切って口上を述べるシーンとかも、あーそーだよねーって感じ。
見れば面白いと思うかついてけないと思うか意見が分かれそうだけど、この作品の切れの良さとかテンポを形成する要素だから批判しちゃいけなかった。
前回見た時は、このガロのキャラがウザすぎて辟易してしまい受け入れられなかった。
どうも松山ケンイチさんの声も空回りしてるように聞こえてしまってね。

ガロが戦ってるバーニッシュというのは突然変異なわけで、誰も好きでなったわけじゃないのよ。
でもこの世界ではバーニッシュというだけで凶悪犯人として捕まってしまうから、それを隠して生きるしかない。
まるでナチスのユダヤ人狩りのように彼らは容赦なく連行されてしまう。
ガロが見た、リオに救出されたバーニッシュたちは子供や老人や怪我人ばかりだ。
実は捕らえられたバーニッシュはクレイによって人体実験されていたのである。
リオからそう聞かされ、今まで日本の火消しに憧れて纏を担いで大袈裟な口上で消化活動してたガロは、自分が持ってたのはあまりにも無知な正義感だったと知るのだ。
ガロが今まで信じてた世界は音もなく崩れてしまう。

一方、バーニッシュのリーダーであるリオは金髪ボブの美少年だ(早乙女太一くんいい)
中性的な顔立ちにレースのブラウスを覗かせてたり、テロリストというよりは亡国の王子風である。
リオは迫害を受けるバーニッシュの現状に激しい怒りを抱いている。
彼の実力は可愛いビジュアルとはそぐわない強大なもので、少女のような顔の下には「燃やさなければ生きていけない」という情念をかかえてるのだ。

しかし対立するかに見えた二人だが、実は純粋で真っ直ぐな所とかよく似ている。
ガロもリオも立場こそ違え、自分の信ずる正義のため戦ってきたのである。
思慮深さとは無縁に見えるガロだけど、彼なりに考えてるんだなって今回は気づけたのが収穫だ。
その象徴みたいに登場する凍り付いた湖のシーンは、喧々たる作中とは一線を画す静けさに満ちていて好きだ。
クレイを追求したために幽閉された部屋の小窓から、ガロは空に登るピンク色のバーニッシュフレアを見る。
それは巨大な龍の姿となり、それだけでガロはリオだと気づき彼が泣いてるとつぶやくのだ。

炎さえ使わなければバーニッシュだって俺たちと同じ人間だ。
ガロはそれに気づくけど、遅すぎなのである。
地球は既に大変な事になっておりこのままじゃ人類は滅亡しちゃうかもしれないのだ。
クレイの直属の特殊部隊はバーニッシュ捕獲のために動き出す。
こいつらはバーニッシュを人とは思ってないし、残酷な事を嬉々としてやる変質者みたいで怖い。
そして堺雅人さんが声を当ててるクレイは、バーニッシュを利用しようと企む本当に悪いヤツだ。
ガロはクレイを尊敬してたのに、本性を現したクレイから「おまえは度し難い馬鹿だ」とか「ウザい」とか「消えろ」っつわれて、ひどい言われざまでそこはちょっと笑ったけど、声がまさに堺雅人である。
でもガロは悩んだり苦しんだりしないキャラだから「おれは火を消すだけさ」って言うのが、なんだか不器用な男の哀愁にも見えたのである。
そして自分とは年齢も立場も違うリオの事をいつの間にか見守るようなスタンスとなり、二人のコンビネーションも最高潮となる。
気づけば女性客ばかりである。
まあそれ以外にも、バーニングレスキュー隊員たちの活躍や、命も辞さないリオの部下とか、エリス博士の妹への愛と科学者としての葛藤とか、クレイの下衆なとことか、バーニッシュを動力原にしようとか、もー色々あって二人は最終決戦へと望むのだ。
私はどうもSF的な説明されると脳がスリープしちゃうのだが。
凍り付いた湖の下の巨大な研究所でデウス博士のAIから、地球のコアと同調した異次元宇宙からの炎生命体が「プロメア」だっけ?そんな説明がなされてるとこでガロが鼻提灯で立ったまま寝てるのには笑った。
そしてバーニッシュの真実が明かされたり、クレイの本性が明かされたり、もう唐突すぎて明らかにご都合主義だけどもうそれでいいのだ。
4DXの特殊効果にロック音楽調の楽曲が聴覚に働きかけ、まさに4DXここに極まれりを体感した次第である。
41,195キロを全速力で駆け抜けたようだった。