好きな女の子から消しゴムを借りたら前の席の男子の名が書いてあってそれを庇った事から始まる勘違いコメディー。彼女のために愛のキューピッドになろうとしたのに、なんでか加速度的に高まってしまうBL感。青木と井田のピュアな恋の行方は?
いつもときめきと胸キュンと癒しをありがとう!「消えた初恋」
と冒頭から挨拶したくなるほど、あたくしの好きな漫画「消えた初恋」の8巻が発売されましたので、なんとなく感想を書き残す事と致しましょう。
青木と井田は一緒に京都の大学を目指す事になったのですが、青木の中にはある屈託がありましてね、それは「二人がつき合ってる事は隠せ!」って思わず言っちゃった事で、井田は嘘をつくのが下手だから無理してんじゃないか?と気がかりだったのです。
青木はお調子者に見えますけど、相手のためになると思えば損得も考えず行動するような子ですから、井田を無理させてんじゃないかと思いやる気持ちからウダウダ考えちゃってるわけです。
情が細かい青木と比べ、井田ったら拍子抜けするようなアッサリさで、まだ誰かに話す機会もないし全然無理してない、と。
あっそう、ならいーけど・・・・自分だけがやきもきしてるようで、青木の目には井田が考えてるようで何も考えてないように映ります。
ちょっと不服そうな青木に、井田は花火大会があるけどどうする?って聞いてきます。
この笑顔
青木は単純ですぐ機嫌が直るんですけど、これもう美徳ですよね。
この夏やり残したことを全部やろうぜ、と聞いた井田はちょっと考え込みます。
・・・やり残したこと?
言われてみればあったような、何かやり残したこと・・・?あ!
祭りを満喫する青木を見ながら、井田はやり残したことを思い出すんです。
そう、それは「次は俺からする」って言ったことですよキャーッヤダもお。
でも青木が言ってるつきあうってのは祭りの話ですからね、何でもつきあうぞー!とか言ってくるけど、どうも言い出しかねる井田。
また井田が何か言おうとすると邪魔が入るのよ~
浴衣姿の橋本さんが・・・
橋本さんは相多とはぐれてしまい充電も切れて困ってると言われ、青木は相多を呼んであげます。
いつでも親切♡
おじゃましてごめんねってフツーに言う橋本さんがいい
じゃっつって去って行く二人。
それでなんだっけ井田?
あのさ・・・
と井田が言いかけた所へ、今度は青木の姉ちゃんが声をかけてきて、(姉さんの店が出店してた)手伝ってくれと頼まれた二人は手伝ってあげるのです。
やれやれ、青木も人がよいけど井田もそーとーです。
なんかもう言い出しずらいなー
青木が楽しければいいかと思って、これと言って自分の意見を言わなかった井田。
そんな井田を見てた青木は「コイツは騒がしいとこが苦手なんだ」と勝手に解釈してしまい、井田と二人だけで花火が良く見える秘密のスポットにやって来ます。
お互いに相手のことを思いやっているのに、距離が縮まったようでいて、まだまだ他人行儀な二人。もどかしいのお。そこがいいんだけどね。
たしかに二人の方がいいなとは思ったけど、と前置きしながら井田の本音がやっと聞けます。
今日みたいな時に青木は俺と付き合ってるんだって言いたいなって思った
これは、青木が冒頭で「つき合ってるの隠せって言ったけど井田は嘘をつくの下手だし無理してるんじゃないか?」に対する井田のアンサーなのです。
まあ大分ずれてるけど、青木の問いに誠実に返事しようという井田のクソ真面目さがなんか微笑ましいよね。
最初青木はキョトン顔でしたが、そんな風に思ってたのか、ちゃんと話せてよかったと思ったのです。
井田が話したい人がいたら俺もうちょっと勇気だすよ。その時はお互いに相談しようと二人は話します。
とーこーろーでー、「次は俺からする」の件ですが、「いやそーゆーのはしたい時にするもんだって」と青木はドギマギ赤面しながら答えます・・・すると!
じゃ今していいか
もお!井田くんの突然のオス♂の顔に萌え禿げるわ!
この後二人はキスするんですが(おおっ!)いつもはクールな井田が意外にも熱いキスをして来た事で戸惑った青木は井田にストップをかけます。(すごい涙目で赤面してた)
そうして、人を好きになるってどんな気持ちなのかわからんと言ってたヤツが?と井田の事を見くびり過ぎたんだろうかと内心青木は危機感を覚えるのでした。
危機感って・・・
どんな付き合いをしようとしてたんだい!?青木よ可愛すぎか!
この作品は少女漫画誌の別冊マーガレットで連載されてるのですが、コメディー風味のBLもしくはソフトなBLでして、井田と青木のぎこちないカップルが忘れてた初恋を思い出させるような初々しさで胸がときめきます。
複雑でよく出来ている勘違い人間関係は非常にテンポ良いし、絵もきれいだし、井田くんは少女漫画の典型的なカッコいい男の子ですし、さすがのクオリティです。
お調子者だけど純情な青木とイケメンなのに鈍感な井田、何事も一生懸命な橋本さんとなんかテキトーな相多、の2組のカップルが物語の軸となっています。
しかしながらこれまでは優しいけど鈍感で何を考えてるのかよくわからなかった井田がついに目覚めたのか、青木にグイグイ来るシーンが登場してきて、いよいよ佳境に入って来たと思われます。
この作品は面白いだけじゃなく素晴らしい所が2点あって、まずホモフォビア的なものがまったくないのです。
橋本さんは青木が好きなのが井田だと知っても驚きもせずに青木の恋を応援するし、二人でフツーに恋バナで盛り上がり励まし合います。
相多は青木の親友なのですが、青木が井田を好きな事に気づくと「本当の気持ちを言えない雰囲気を作ってしまった」と謝るのです。
井田が所属する男子バレー部の部員たちもとても雰囲気が良く、不器用な井田の初めての恋を応援してくれます。
ああみんないい子たちばかりでなんて優しい世界なんだろうと、読むたびに癒されるのですわ。
彼らは一様に純粋で思いやりがあって性の多様性もごく自然に認めています。
結局のところ誰かを好きになるのに男も女もないって事を素直に受け入れているのです。
そして2点目は二人が性愛とは程遠い事で、ポルノまがいのBLを見慣れた目には実に清らかで可憐で胸キュンものであります。
つきあってはみたもののなにをしたらよいのかわからない。
しかし手ぐらいは繋いでみたいとか。
ああ尊いという言葉は二人のためにあるんだな。
まあ自分がゲイである事に悩まない所や、悩むのは二人の関係性な所はまさにBLなのですが、少女漫画誌ならではの優しさで一杯な素晴らしい世界観が構築されています。
アララほめ過ぎかしら。
とにかく読んでみよっ!