三谷とのセックスで勃たなかった洋平。
慧に勧められ慧のアパートでシャワーを借りるのですが、慧が「僕も入っていい?」と裸で入って来た(そりゃ風呂だから裸なんですが)ところで終わったのが前巻。
慌てた洋平は真っ赤になって出ようとしますが、慧はふざけて体をくすぐって来るわけです。
慧の裸は男の子ですが、緩やかな体のラインや細い肩は女の子のもので、とても綺麗に描かれています。洋平が真っ赤になるのも当然ですわよ。
慧は「オナニーよりすごい事を教えるって言ったよね」と言いましてね、慧のリードで二人はエロ展開に・・・あたくし恥ずかしくて具体的に書けませんので勝手に想像してくださいな。
洋平最初は抗うものの気持ち良さに腰砕けとなり、そのまま絶頂へ♡
その時二人は、まるで仲良しだった子供の頃に戻ったみたいな気になり、心が通じ合ったようでしたな。
(まあセックスしたわけではないんですが)事が終った後の洋平は、慧に対して安心感や安らぎを見出してますから、良いセックスをした後のようないい雰囲気になります。良いセックスとは愛のあるセックスです。
慧ちゃん、また俺と仲良くしてくれる?
もうしてるし
うふふ
これがきっかけで二人はもう学校でも仲の良さを隠さなくなり、三谷は気になります。
無関心を装いながら時々二人をチラ見する三谷の目、押見先生うまいわ~
ある日慧は廊下で女子の先輩からいきなり絵のモデルになってほしいと言われますが、「やです」とソッコーで断る。
みんな慧があまりに美少女なので興味深々で近づきたがるけど、慧は自分の外見で近づいてくる人にはいつも塩対応ですよね。
この先輩、阿野蓮も最初はそうなんですが、慧が男の子だと知ると洋平から色々聞き出し、いささか強引ではありますが「男を降りたい。でも女になりたいわけじゃない」という慧の言葉に共感したようで、自分も付き合うとか好きとかいうのに乗っかれない自分はおかしいのかと思っていたと、まあそう言うんですわ。
「洋ちゃん、話があるの」
ついに三谷が動き出し、洋平を学校の中庭みたいな場所に連れて行きます。
ごめんね検索したら男の子って繊細なんだねとか、今度はちゃんとするからあたしの事まだ好き?とか(洋平が勃たなかったら悲劇のヒロイン面で泣いて怒ってたもんね)言ってみても洋平が思いのほか無言なのを見た三谷はコレは慧と何かあったなと察し、わたしもできるもんとディープなキスをしたり、制服の胸の谷間を見せたり、「おっきくなってるよ」なぞと言い洋平の股間を指先でカリカリと触ってくるのでした。
おいおい、とても処女がやる事じゃないぞ!
いや三谷さん処女じゃないよね?!
悶々とした洋平をそのまま自宅に連れて行き、洋ちゃんは寝てればいいからつって、自分でゴムつけて乗っかってたもん。処女ってあんなすぐ入るんだっけ?すまぬ小生、昔過ぎて思い出せぬ。
ああ気持ちいい。チンコがお湯につかってるみたいだ。まるでオナニーしてるみたいだ。と思いながら洋平はフィニッシュする。
これがまた見開きでベタに人形みたいな洋平がぴぴって描写なのです
慧の時はキラキラ輝く海が眩しかったのに
せっかく三谷とセックスができたのに喜びはなく、慧ちゃんとした時と違って、どうしてこんなに苦しいのだろうと洋平は考えます。
それは三谷も同様で口では「よかった、またしようね」と洋平に言いながら浮かぬ表情で、ちっとも楽しそうじゃない。
そりゃあセックスというのは一方的なものではなくて二人でするものですから、気持ちいい事を求めるためにだけするものでもないですし、そこに愛はあるんか、ないですよ。
愛のないセックスの虚しさに、彼らは愛のなんたるかに気づいていくのでしょうが、愛の始まりは自分を愛する事からですよ。僭越ではございますが、そこはもっと自分を大切に致しましょう。
あてつけで洋平とつきあい、女の自分の方が魅力的なはずだと浅はかに思い込み、慧への対抗心を燃やしたとて、慧はちっとも同じ土俵の上にはいないじゃないですか。
慧が昔からどことなく三谷に冷たいのは彼女が自分の表面上しか見てないとわかってるからだし、昔のかっこいい男の子だった慧ちゃんにこだわるから今の慧が受け入れられないんです。
いつも顔を赤くして彼女の独り相撲に翻弄されてる洋平を、なぜ慧は好きなのかと考えれば、洋平こそ自分の中身をちゃんと見てくれるし自分を傷つけないと思っているんじゃないかな。
「男を降りたけど女になりたいわけじゃない」と言う慧は、今はまだ自身の性自認が男と女どちらでもないか、または男と女の間で揺れているんだろうと思います。
日本ではまだまだ男女どちらかでいなければならず、性別で判断される事が多いですし、いくら先生が「今は多様性の時代です。彼を尊重して」と言ったって、みんな好奇心丸出しで珍獣でも見るように寄ってくるんだから、生きづらいよコレは。
阿野さんの描いた絵を受け取った慧が
ぼくはそんなに面白い人間じゃないよ
ぼくはただのひとですよ
っていう言葉には、慧の思いが深く心にしみる場面でしたね。しみじみ。
ジェンダーの世界は奥が深くて、この作品での慧の存在がわかりそうでわかりませぬな。
でも一番わからないのは、洋ちゃんとやり直さないとすべてがダメなような気がして、慧が戻って来た事なのです。
うーん、どうゆうこと?
「おかえりアリス」って慧を指してるように思えますが、アリスって何なんだろ。
序盤は慧が可愛ければ可愛いほど洋平がパニックに陥りそこが面白かったのですが、三谷が慧に対抗心を燃やし洋平を引っ張り込むために女の武器を使い出すと、やっぱ押見節ですわ。思春期を病んでる。
ああ悩ましき思春期よ。