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漫画/「ダーウィン事変」④ うめざわしゅん(ネタバレ)チャーリーによもやまさかの新事実が!?

半分ヒトで半分チンパンジーの「ヒューマンジー」チャーリーは、人間の養父母の元でヒトとして育てられ、15年後、高校に入学することに。

しかしチャーリーをテロに引っ張り出そうとするALA、彼を忌避する周辺住民、FBIなどが入り乱れる中、チャーリーの家は火災となり、養父母は何者かによって殺害されてしまう。

(うめざわしゅん「ダーウィン事変」4巻/講談社アフタヌーンにて連載)

数々の賞にランクインして話題作になってますのお。

4月に発売した4巻の感想を何とはなしに書いておきますね。

過去に書いた記事もよかったら読んでくださいな。

 

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人間は他の動物よりも優れていると人間は思っていますが、人間じゃないチャーリーは人間以上に深く考え身体能力ときたら人間をはるかに上回ってるんですから、チャーリーは人間よりも優れた存在なのかもしれないですよね。

これって、「猿の惑星」?あるいは、岩明均先生(推し)の名作「寄生獣」的な?高度な能力を持った生物が人間社会に不安を与えるという世界ですやん。

「もう人間は特別な存在じゃない」って事になれば、これまでのように君臨できなくなりますから、既存の価値観や在り方は吹っ飛ぶでしょう。

チャーリーを愛する人たちがチャーリーは友達だと叫んだって、そりゃ相容れないわけです。


さて、チャーリーの家は全焼してしまい養父母であるスタイン夫妻の葬儀が営まれますが、帰る場所を失ったチャーリーは失踪したままでして、FBIや地元警察が血眼になって探しております。

それだけでなく、民間団体や篤志家が「ヒューマンジー捕獲」に懸賞金を賭けたっつーんで、州内外からも人々が押しかけて来て町はもう大変な騒ぎで、当然ルーシーも尾行対象となっていますが、密かにチャーリーと接触しています。木の上にでも隠れてるのかな。サルだけに。

ルーシーはリナレス議員と会い、所有権者であるスタイン夫妻が亡くなった現在、チャーリーの法的立場は無主物(現に所有者のない物)扱い、つまりはモノだと言われます。捕まったら害獣として殺されちゃうかもしれないんだって。

そしたらフィルがなんと「俺の家へ来い」と言ってくれる。


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どえらいご提案だぜ

 

チャーリーが「モノ」だって言うんなら、このまま連れて帰れば俺の拾得物だと言うのがフィルの理屈です。そっか・・しかしまあ漢だねえ。

ルーシーとフィルのやり取りを黙って聞いていたチャーリーは行く事に同意します。

いつもチャーリーの目はとても澄んで思慮深く描かれているんですが、きっとフィルはリナリス議員なんかより信用できると見抜いたんでしょうな。

フィルの家は嫁のグレイスと二人暮らしでして。

 

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グレイスは明るくよく喋る中年女性で、いい人そう

 

チャーリーを快く受け入れてくれます。

ってか、グレイスは世間知らずの無邪気な女性らしくて、事の重大さをよく認識出来てないようにも見えますが、フィルはそういうとこがいいんでしょうねえ。

このグレイスやルーシーですけど、作者は女性キャラを描くのは苦手なんですかね?と言うのは、グレイスは天真爛漫でルーシーは直情径行型で、わかりやすいベタなキャラクターじゃないですか。チョット魅力に乏しい気がするんですよね。アメリカ中西部のなんかカントリーサイドの実直な男みたいな、フィルを始めとした男性キャラはとてもリアリティーがあっていいのに。

 

一方、チャーリーの体には異変が・・・

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うれし恥ずかし思春期到来ですわ

 

チャーリーは急激に骨格が太くなり筋肉量が増えて、第二次性徴ですと。

そうしてチャーリーは自分の生物学上の父親であるグロスマン博士を探し会いたいと思っています。

彼がどんな目的でヒューマンジーを作ったのか聞きたいのです。

自分は何者なのか?どうして生まれてきたのか?

思春期なら誰でも考えるアイデンティティーを巡る旅です。

それを聞いたルーシーは、実は自分は人工授精で生まれた子供だとチャーリーに告白します。

父親は一度も会ったことない精子バンクに登録されていた男性だそうです。

チャーリーとルーシーは奇しくも、不自然な生殖技術で生まれた似たもの同士だったんです。

でもルーシーは、だからチャーリーと友達になったわけじゃありません。

 

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オイオイ思春期だからって(*ノωノ)

 

二人が互いに好意を持っているのは以前からわかっていることですが、交尾じゃなくてメイクラブと言ってとルーシーは言います。

もちろん今はしないけど、いつかしてもいいかなとルーシーは思っております。

 

その頃ノースダコタ州では、オルコット農務長官がマスコミに追求されていました。

農務長官には不正献金疑惑があり、食品加工業者への便宜を図り動物福祉法案の廃案に動いたとされていました。

疑惑の中心となる動物福祉に関する法案とは、家畜にストレスを与えない飼育環境を目指す国の取り組みです。

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長官は何者かに拉致されてしまうんだな

 

一方、ミズーリ州では家に閉じこもってたらよくないと言うグレイスに連れられ、チャーリーとルーシーが地元のスーパーマーケットに買い物にやって来て、ひと悶着起こします。

店から出ていかないと警察を呼ぶという店長、ヒューマンジーはテロリストの仲間だと叫ぶ少年、それをはやし立てる男は腰から銃をぶら下げていまして、怖いわねえ。いかにもアメリカな描写ですわ。

ルーシーはカッとして、スーパーにオープンキャリー(銃を見せつける事)で銃を持ち込む方が危ないからあっちを追い出せと言ってしまい、それを聞いた男がすごむと、「おしゃぶりみたいに銃を抱えてないとお外に出れないのねえ。べいべえ」などとグレイスが笑いながら言うんで、男が拍子抜けしてしまうというね。なんかグレイスもフィルも肝が据わってまんな。

まあでも、子供はそんなの気にしないし、差別はするなと考えてる人もいるし、けっこう丸く収まるのであります。

 

そして、行方不明になった農務長官はとんでもない場所で見つかったのです!

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とにかく恐ろしい猟奇事件が発生

 

カナダ国境近くで放置されていた食肉用の冷凍トラックの中で、豚肉のように血抜きされたうえ内臓を取り出し吊るされていたのです。

12名の被害者は性別も人種もバラバラで、しかし唯一の共通点は肥満体系でした。戦慄です。

なんかもうヒューマンジーがテロリストと戦うという単純な対立構造ではなく、とてつもなく恐ろしい事が起こっている気がします。

 

あと、チャーリーの母親のエヴァが死んでしまうのですが、エヴァは死ぬ間際にチャーリーに何か伝えたい素振りをしまして、それに気づいたルーシーが単語カードを持って来させるのです。

な、なんですと!
えーいったいどういうことだ!?


 

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