「ミステリーと言う勿れ」の新刊が出たので感想を書こうと思ったけど、全然まとまらないので昨日読んだ本の感想でも書いとこ。
あらすじ
保険会社の営業に転職した岡田修一は、思うような成績が出せずパッとしないってのに、急に大口契約を解約されてしまいまして、窮地に陥っていました。
会社での立場も危うくなるし、歩合制だから給料が減っちゃうのよ。
なんとか次の給料日までに、今回の解約を取り戻すような新たな契約を取らねばっ!と焦りまくる岡田。
そんな岡田の苦しい立場など知らない嫁は約束してたパリ旅行を楽しみにしてるし、中学生になる一人娘は不登校でスマホばっかいじってるし、実家で独り暮らす母親から電話が来まして、母の面倒も見なくちゃだし、実家をどうにかしなくちゃだし、そんな余裕が俺にあるかってんだよ!もう岡田イライラのイラ限界!頭はパンク寸前!
「・・・なんで俺ばっかりこんな目に遭うんだよ」
思わず恨み節を吐いたその時、一台のタクシーが岡田の前でスッと止まりましてね、後部座席のドアが開く。
それは不思議なタクシーでした。
運転手は何も言ってないのに岡田の名前も行き先も知っている。
娘の学校から呼び出されてるのです。
ミラー越しに見た運転手の顔は知らない顔です。
運転手の名前を見ると「御任瀬卓志」お任せタクシーというドリフのコントか!みたいな名前が書いてあるし。
しかもメーターの数字が「69730」になってるのが見えて座席から飛び起きると、このタクシーは数字が0になるまで乗り放題で料金は無料だってゆうじゃん。
言われて見ればメーターの数字は増えてるんじゃなく、どんどん減っていくのである。おろろ
不思議な運転手は「私はあなたの運を転ずるのが仕事です」と言う。
あっ、「運転者」ってそういう意味ね。
岡田さんの人生の転機となる場所に連れて行きますと、こう言うんですわ。
不思議タクシーにいろんな場所へ連れていかれ、運転手にブーブー不満をたれながらも、これまでの考え方や生き方が少しずつ変わってゆく岡田。
そして、このタクシー運転手がなぜ自分の前に現れたのかを知るというね。
感想
岡田は不機嫌である。
イライラしてるから、呼び出しといて大した話もしない娘の担任の前では顔に出るし、嫁にも八つ当たりしてしまう。
しかしまあこのおじさんを批判するなっつーの。人生崖っぷちなんですから、人がこういう状況に陥る事は珍しい事じゃないし、ってか人生ってこんなもんじゃないですか?
でもでもこの本、途中までは結構面白かったのに、小説の体をした自己啓発本だと気づきました。SFファンタジーかと思ってた。
なんかすぐ読めちゃうボリューム。
いい事も書いてありました。
人生において大事なのは、「上機嫌でいること」
人は不機嫌でいると、最高の運気がやって来てても気づかないのです。
岡田は「運転手」から、せっかく運が良くなる場所に連れて行ってるのにイライラしたらダメだよ。今チャンスを逃したんだよ。って、怒られてまう。
え?今?どこにチャンスが?
岡田さんが教室に到着する前に奥さんが先に先生と話をしていたんですよ。
「主人は仕事中で遅れます」
「なんのお仕事ですか?」
「生命保険の営業です」
「えっ、僕お願いしようかな!?」
ってなって~
担任だけじゃなく学校の他の先生も保険の見直しを考えてくれて~
数年後には先生たちは色んな学校へ転勤になるから~
そこでまたどんどん広がって~ってなるはずでした。
なるかい!そんなん!!
それで次に連れていかれたオサレなカフェでは、上機嫌を意識してさりげなく笑顔を作り目で挨拶する岡田。
この中の誰かが保険に入ってくれるはずだからと愛想を振りまきます。
きっと向かい側の男に違いないと勝手に思い込み、前に置かれたシフォンケーキを見て、「それおいしいですか?」と話しかけたり「私にもこの方と同じものをください」「おいしいですねえ~」とか必死。
結果、その男性に避けられる。
きっと獲物をねらう目だったのよ。
あと反応を見ようと保険の営業だと明かしてるし。
「運転手」からは、アータのは契約を取るために上機嫌を装ってるだけだとダメだしされるのです。
つまり上機嫌というのは、他人からそう見えるんじゃなく、自分自身が機嫌よくいられること、ポジティブでいるってことなんですよね。
運はいいとか悪いではなく、ポイントカードのように貯めて使う物だから、努力しても結果が出ない時は、今は貯めているだけで後になってから報われるんだそう。
努力しても結果が出なかったというのは、けっこうある。
それで結局、自分はダメな人間なんだと落ち込んだしょぼん
おれのネガティブを舐めるな!
どうも説教くさいと思ったら、作者は学習塾の先生だったんですね。
学校の先生より塾の先生の方が話が面白いのは周知の事実です。
自分は運が悪いとか、なんで自分ばかりこんな目にあうのかなどと常々思ってる人は読んでみるといいんじゃないかな。おしまい