「デビルズライン」は「月刊モーニングtwo」で2013年から2019年まで連載されてた漫画。
タイトルと表紙がカッコいいけど、中身は恋愛要素がメインテーマの作品。
この作品の舞台は吸血欲を持った鬼がひっそりと人間に紛れ込んで生きている日本です。
大学院生のつかさ(22才)は、警視庁公安五課F班(鬼による事件を専門に扱う部署)に所属する捜査官・安斎(21才)と出会い魅かれあいますが、彼は鬼と人とのハーフなのでありまして、ダークっぽいタイトルと表紙がかっこいいから、きっと鬼と人間が戦うバトル漫画だと思うでしょうが、これがまあ読んでみるとかなり違いまして、テーマは二人の恋愛ですよね。
少女漫画の王道を行くような、恋の切なさに胸がしめつけられちゃうかも。
戦闘シーンもありますけど印象薄い感じですね。
荒んだ感じの目が魅力的な安斎捜査官
血を飲まない鬼は目の下のクマがヤバい。
ちなみに血を飲むとクマは消えてきれいになる設定。
この世界では、鬼は人間を装いおとなしく暮らしているのですが、一たび血を見てしまうと我を忘れて鬼化してしまうんで、ちょっと怪我して出血したのを見ただけでも興奮して鬼になって襲いかかり限界突破して血を吸っちゃって、結果人間は死にますわな。
そんな事件が多発してるのです。
これを吸血欲というのですが、吸血欲は性欲と強く関係してるんですわ。
安斎はこれまで吸血欲薄目で、鬼と人間は共に生きるべきではないという信条の元に生きてきたのですが、つかさに出会って吸血欲が覚醒してしまいまして、制御しきれぬ鬼の本能と彼女を想う気持ちの間で身を焦がすような苦しみに苛まれることになるわけです。
つまりここがわしが好むところだが、血を吸いながらやりたいというめくるめく衝動を持ってしまうんである。
当然つかさは死にますよ。
こ、こわいけど官能的ではないか。
しかも安斎ったら1話からやりおる。
二人が出会う場面で、口を切って血が出たつかさを見て、衝動的につかさの口元の血を舐めちゃう&べろちゅう。
っていきなり!
いきなり舌を入れてくるか!
いくらラブ・ストーリーは突然につっても。
しかもそのあと正気に戻って「ごめんなさい舌とか入れて」と小さい声であやまってくる。
可愛いかよ。
惚れてまうやろ~
実際つかさは惚れてしまうのであるが。
鬼は電柱から電柱へと飛び移るような高い身体能力を持っていますんで、安斎はたいてい窓からやって来ます。
つかさが安斎の事を考えながらカーテンを開けたら、ベランダに立っている。
(こわっ!ストーカー?)
これはアレだよアレ!ジブリの!耳をすませば!
雫ちゃんが天沢聖司に会いたいなって思いながらアパートの窓を開けてなにげに下を見ると彼が自転車で下にいるやつだよ。キュンキュン
どうでもよいですね。
また、鬼はたとえ瀕死の重傷を負っても吸血することで治ったり、人間をはるかに超えた膂力を持っていますから、鬼に変異しそうになると鎮静剤などの注射でコントロールされてるのが痛々しいです。
ほとんどの鬼は自我を忘れて人を襲う事態を恐れていますから、愛する人を殺してしまった衝撃で自死したり、そうなる前に自死したりと悲哀に満ちてまして「鬼は醜い化け物なんかじゃない。鬼は虚しい、悲しい生き物なんだ」という炭治郎の声が聞こえてきそうです。
つかさは安斎をこわがる風もなく、それどころか一途に彼を慕うんで、安斎も少しずつ歩み寄っていくのですが、それは本当に恐る恐るという感じでしてね。
親の顔も知らない孤児の彼が初めて見つけた居場所なのに、自分は鬼だからと消極的にならざるを得ず、好きになればなるほど彼女に興奮する事も増えますし、鬼の本能に飲み込まれそうになったり、一筋縄ではいかないのが切ないのよねえ。
安斎が自分の出生に疑問を持ったり(鬼と人はセックスできないはずなのにどうして自分が生まれたのか?)鬼の抹殺をたくらむ「CCC」と、彼らを影で操る黒幕を探ろうとしたりサスペンス要素もあるのですが、弱い。
物語としてはこっちをメインにして、鬼と人間の共存を模索する中でそれぞれの人間模様を描いていったほうが面白いと思うんだけど、それじゃまんま東京✖✖✖だもんね。
しかも鬼がどういった存在なのかは最後までよくわからないまま。
作者はどうしても恋愛要素をメインにしたいようで様々な恋の形が描かれますが、ただ主人公カプは若いからいいけど、鬼と人間の性交渉トレーニングっつーのも笑ったけど、結構いい大人が恋とか言ってんのは違和感があるし、後半ではゲイで無性愛者というキャラが登場したり性的マイノリティにまで話を広げすぎな感じが。あっ、鬼もマイノリティなのかな。
みんな自分の居場所を探してるんだけど恋しなくちゃならないのかな。
設定やキャラは悪くないんだけど、作品としては消化不良な感じがいたします。
それでも恋する切なさはいいもんだよ。
実はデビルズラインの続編「デビルズラインⅡ逆襲」①が発売されたんで、その感想を書こうと思い、おさらいをした次第です。