「超人X」はウェブサイト「となりのヤングジャンプ」にて、2021年5月から連載中の漫画。
「東京喰種」の作者が描く異能バトルアクション!
「東京喰種」大ヒットしましたが、作者の人はその後どうしてたかと言うと、3年位ゲーム作ったり作詞したりしてたそうです。
前作が売れると次に何を描くのか、ファンの期待が高まる一方で漫画家は悩ましいと思うんですが、これは「超人」と呼ばれる異能力者たちが跋扈する暴力的な世界を舞台にしてます。
が、前作のような暗い雰囲気はないんです。(アレはアレで良かったですけどね)
今作は背景や仕上げもすべて一人で描いてるそうで不定期連載になっています。
あたくし漫画は紙派なのですが、コミックスは現在④巻まで出ております。
これまでのお話を振り返りながら④巻の感想を書こうと思いますよ。
まず物語の舞台は西暦1998年(過去ですやん)。
「超人」の増加により混乱を極めた世界国家が「自治県」に分断されている設定です。
ヤマト県に住む主人公の黒原トキオ(高2)と親友の東アズマは、超人になれる注射を打った超人に襲われてしょうがなく互いに注射を打って超人になってしまうんです。
ただしすぐに超人になったのはトキオでして、トキオは気弱な男子なのですが、超人の力を得たことで戦いに巻き込まれ、まずまずの苦悩をしながら強くなっていくという月並みストーリー。
超人は文字通り人間を超越した力を持ったスーパーマンですが、人間が突発的に覚醒するのが普通で、強い願望やストレスや遺伝など様々のきっかけで超人になってしまいます。
で④巻では、超人に関する歴史的な背景や、タイトルである「超人X」の意味が明らかになっています。
さて、超人組織「ヤマトモリ」には「キーパー」と呼ばれる良き超人が在籍していまして、彼らはヤマト県の平和を悪しき超人から守るため日々活動しています。
トキオが出会った乙田エリイも煙の超人として練習生になりましたが、優柔不断なトキオはまだ決めかねていました。
そんなトキオが手配書の回る賞金首の超人・リリカとリカルドに拉致されてしまいまして、助けに来たアズマがやられて死んだ!と思いきや超人になって蘇った!?
しかしアズマは「カオス」という超人の暴走状態に陥っています。
普段の正義感の強いアズマとは思えない暴走超人になってしまい、敵味方蹴散らして暴れまくります。
死んだと思ったアズマが注射の効果で生き返ったんだと喜ぶトキオ
自分を見失ったアズマはトキオに「俺と戦え」とそればっか言うのですが、まさかそんなことできないトキオ。
一方的にボコボコにされても抵抗せず、トキオは本当にアズマが好きなんですよね。
もう新宿新次に無防備に殴られるバリカン健二みたいな、男たちの悲しい愛の物語に見えて来たぞ。
一向に戦おうとしないトキオに焦れるアズマの体には変化が・・・
腕にはアズマを縛りつけるかのような重い鎖&シザーハンズみたいな手が・・なんですのん?
アズマは非常に苦しみながら「トキオ!なんでおまえは僕を見下すんだ?」と、トキオには耳を疑うようなことを言い出します。
トキオってば自分じゃ気づいてないけど、自分に自信がないだけで、けっこう頭も良いし本当はやればできる子なのよ。
アズマはそれに気づいていて、本気を出さないトキオが自分を見下しているんじゃないかと、深層心理では考えてたのよね。
そういう無意識下の闇が表面化してくるって、コワい作品だわねえ。
そんなこんなで、チクショウもう戦うしかないっ!てなるトキオ。
トキオは獣化テイストの「ハゲタカの超人」なのです
いつもアズマの後ろをついて回ってるから「ハゲタカトキオ」という嬉しくないあだ名をつけられたものの、「ハゲタカって世界で一番髙く飛べるんだぜ」とアズマに慰められハゲタカ好きになりました。
トキオは「レイズ」で再生して戦いますが、破壊と生成を織りなすレイズは、超人としては強くなれるけど人間性を失ってしまう危険な力です。
まあダークファンタジーも若干食傷気味ではありますが、設定ちゃんとしてますよ。
この戦いアズマが負けてしまいます。
悔しさよりも、自分はずっとトキオのヒーローでいたかったんだとアズマは悟ります。いとあわれ。
ひとり海辺を彷徨うアズマはある物を見つける
この辺の描写がいいんです
それはハイエナの死骸でした。
③巻で、アズマが動物園が破壊されて逃げ出したハイエナに「スミマセン海はどっちですか?」って聞かれるという不思議な出来事がありました。
思えばあの時ハイエナの言葉を解したのは、超人化する兆しだったんだろね。
浜辺でハイエナの死骸を抱いてアズマは号泣しちゃいます。
アズマの中で何かが終わり、何かが始まりました。
エリイに謝るアズマ。心配そうに見守るトキオ。
夏休みなのに追試になってしまったエリイ(勉強苦手)に、アズマは勉強を教えてあげると言います。
そうしてエリイに謝り、仲良くなりたいとも言うんです。
それを聞いたエリイも、暴走するアズマをただ見ているだけで止められなかったと謝ります。
うーん、爽やかな展開になってきたわよん。
リカルドに聞き取りする能面
④巻の表紙にもなってる能面をかぶった男はきっとイケメンだと思う
一方、能面はトキオとアズマの能力を事細かに聞き取っています。
トキオを捉えようとした目的まではわかりませんが、何か大きな陰謀を企てている輩がいるようで不安だよう。
能面は負傷したリカルドとリリカが役に立たないと見て、煙の超人・チャンドラ・ヒュームに声をかけています。
さて、「ヤマトモリ」には超人の教育機関としての一面もありまして、「キーパー」を目指す見習いが研鑽に励んでいます。
トキオとアズマは一緒に「キーパー」になろうと決心します。
たとえおまえが暴走しても俺が強くなって止めてやるよ。つって。
友情パワーかあ。
ヤマトモリの若手キーパー、剣の超人・籠村シモン(17才)
でもでもシモンくんはアズマに厳しいっ!
大きな力を持つ超人が出現するとパワーバランスが崩れるからです。
超人の世界では、一つの世代に一人は、世界を滅ぼすほどの力を持つ超人が生まれると言われています。
それが「超人X」なのでして、どうやらヤマト県にアータ!「超人X」が出現するらしいぜ。
それはアズマなの?トキオなの?
かつての「超人X」クイームは、ゲルタ連邦が周辺国家統一のために300余名の超人で構成したゲルタ超人隊の隊長でした。
クイームは史上初の超人大統領となり、自らを「戦争の超人」と称しました。
1927年にクイームが暗殺されるまで、各国は超人たちを戦いに投下し世界は収拾不可の状況にあったのです。
超人の歴史は、トラウマになりそうな悪魔的な描写でおぞましくて最高です(・∀・)イイネ!!
世界の敵にも、救世主にもなる存在「超人X」は、もし友ならば共闘し敵であれば打ち砕かねばならない存在なのです。
後半は一転して楽しい雰囲気に。
「ヤマトモリ」のキーパー・佐藤一郎の提案で、夏休みだから海で合宿することになります。
各自のトレーニングメニュー!
トキオ➡部分獣化の習得!欲を言えば飛行まで
アズマ➡能力の特定・・・からの名付け!
エリイ➡新技の開発!
シモン&モモマ➡基礎鍛錬と能力研鑽!いつも通り!
ってなわけで!
ナガマタ県から来てもらった特別講師、いばらの超人・八巻ロジャと暗黒の超人・シャドル・シャントの指導で、夏合宿はわちゃわちゃ楽しく、台詞回しも上手いし、テンポも良く笑えますです。
①巻あたりは「東京喰種」を描いた人ってわからないような絵柄だったんですが、今巻は作画がいい感じだし面白くなってきました。
前作が衝撃的だったから比較してしまうと入り込めないかもしれませんが、基本は少年たちが成長して強くなっていく姿と、友情と、努力と勝利だよね。
何はともあれ、頑張ってくださいな。