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映画/「アンティーク~西洋骨董洋菓子店~」懐かし映画感想

アマプラで懐かし映画を観ちゃいました。

2008年の韓国映画「アンティーク~西洋骨董洋菓子店~」です。

(「アンティーク西洋骨董洋菓子店」2008年/韓国/ミン・ギュドン監督/111分)

これはよしながふみの漫画「西洋骨董洋菓子店」が原作でして、日本ではタッキー主演でテレビドラマ化されましたから覚えてる方もいるんじゃないかしら。

オサレなケーキ屋を舞台に、そこで働くイケメン4人が織りなすドタバタ人間模様なんですが、実は原作ではタッキーが演じてたエイジが主人公ではなく、洋菓子店「アンティーク」のオーナー橘圭一郎が主人公なんです。

タイトルの意味は、閉店した骨董店を主人公が買い取って改装した店でして、アンティークな室内や調度品が売りです。

 

で韓国版実写映画ですが、なんか今更観るとこの映画すげえ。

主演はチュ・ジフンなんですが、「神と共に」の冥界の使者役のスラリと高身長のクールな切れ長の目の人ですわ。

冥界の使者から連続殺人犯まで今や多彩な役どころで演技の幅を広げるあのチュ・ジフンが、まだ王子様だった頃ナリよー(´艸`*)きゃあああー(興奮)

この作品はチュ・ジフンの王子様度が実に最高潮だった頃に制作されたもので、彼は残念なことに薬物事件を起こしそのまま兵役へ行ってしまったのである。

最近ではBTSの入隊が盛んに報道されますが、韓国の男性芸能人にとって兵役は重要な問題です。人気が落ちるからです。

もうダメだなこの人・・・との予想に反し、除隊後のチュ・ジフンったらまるで別人のようなリアル演技で復活しましたのよ。

さらにタッキーの役はユ・アインが演じてまして、今や超演技派のあのユ・アインが、若くて可愛くてもうビックリだぜ。

キム・ジェウク演ずるパティシエの見習い役でして、キム・ジェウクは尊崇するけどオーナーのチュ・ジフンには塩対応という、ただただケーキをパクつくだけのあどけない少年役。初々しいのお~

「男子三日会わざれば刮目して見よ」と申しますが、今では重厚な演技派俳優へ成長した二人が、映像の中ではまだ若くとても美しい時代が観れるのですよ。(・∀・)イイネ!!

きっと「バーニング」や「声もなく」を観た後にこの映画のユ・アインを観たら、はたまた「暗数殺人」や「工作 黒金星と呼ばれた男」を観た後にこの映画のチュ・ジフンを観たら、えええっ!こんな時代があったのねっ♡と、もう愛しさで胸も張り裂けんばかりになっちゃうに違いないよ。ズキュンドキュン

 

こういうイケメン揃い踏みの映画は目の保養で、とかくストーリーはあってなきがごとしですが、昔観た時どう思ったか忘れちゃったけど、今観たらけっこう原作に忠実に作られてました。

ざっくりあらすじですが、甘いものが苦手な金持ちのお坊ちゃまジニョク(チュ・ジフン)は突然会社を辞め洋菓子店「アンティーク」を開きます。

雇った天才パティシエのソヌ(キム・ジェウク)は実はかつての同級生でしてね、ジニョクにこっぴどく振られた過去の傷を経て、今やソヌは狙った男は必ず落ちる!ノンケさえも夢中にさせる!魔性のゲイ(笑)となっているのである。

キム・ジェウクの柔和な雰囲気がとっても良いですが、ソヌは重度の女性恐怖症なのでジニョクは男性従業員を募集します。

ところがソヌが絶えず男性問題を引き起こすので(魔性のゲイを実証)従業員が居つかないっていうドタバタ展開。

結局、ソヌの好みのタイプじゃないからという理由でソヌのケーキが大好きなギボム(ユ・アイン)とジニョクを若と呼ぶボディガードのスヨン(チェ・ジホ)が揃い、男4人で営業するちょっと変わった洋菓子店となるのです。

はああこんな素敵な店でイケメンにエスコートされて(脳内)ソヌの作る美味しいケーキが食べたいわーと思うほど、今観ても全然古臭さがありません。

 

ところでなぜジニョクはケーキ屋を開いたのか?

それには理由があります。

実はジニョクは子供の頃誘拐され、誘拐犯から毎日ケーキばかり食べされられたのがトラウマとなって甘いものが苦手になってしまったんです。

(ジニョクの子供時代は名子役と言われたヨ・ジング)

ジニョクは誘拐された時の記憶が曖昧でよく覚えていません。

もしかしたら自分は犯人にいたずらされたんじゃないのか?

だから記憶がないんじゃないのか?

そんなことをずっとずっと考えて生きてきて表面的な人間関係しか築けなくなってしまった人なんです。

この作品はトラウマに苦しんできた人が自分の生き方を見つけてゆくという側面もあって、コメディな割にはよく考えたら内容は重い。

4人がそれぞれの過去を背負いながら、バズ・ラーマン調なミュージカル風になったりなかなかどうして楽しく、4人の男たちが可愛くてじわる。

特にソヌの「僕は汚くて淫らで殺人ケーキを作る奴だから」というセリフにはなんかもう泣きながら寝込みそうになった俺である。

事件の真相に迫っていく展開は韓国映画っぽさも出しながら、ほろ苦く、深い。

エンディングでジニョクが伸びをしながら「さあ今日もケーキを売りに行くか」とつぶやき、ゴミを持ちながら部屋を出て、ゴミを捨てジャケットを軽やかに羽織りながら歩き出す後ろ姿は、そこはかとなく明るい未来を感じさせます。

 

今はもうベテランとなった二人が花開く前の美しい瞬間を楽しめるお宝映画でした。

ケーキは幸せな時に食べるもの。っていう言葉も良き。

ケーキ食べたい。