年末ですね。
今年も残すところわずかになりましたね。
自分という人間の2022年を振り返ってみますと、4月から職場が異動になりコミュ障には難度の高い仕事を仰せつかりましてね、合わせて引っ越しもしましたんで、慣れない環境のせいかストレスなのかわかりませんが、軽度のウツになってしまいました。
ここからオレの戦いの記録です。
夜寝ると途中で何度も目が覚めちゃう!
朝は朝でめっちゃメランコリーな気分!
あわわ、どうしちゃったんだろう???
おかしいおかしいとずっと思ってたんですが、まさか自分がウツ病とは思いませんでした。
仕事もフツーに行ってたしブログも書いてたんです。
だけど落ち込んだ気分を抱えての毎日はとてもツライものでした。
そして6月某日「ゴールデンカムイ展」を観にドームシティに行こか思ったら、電車の中で突然涙があふれてくるう!!
あかんがなっ!!慌てて次の駅で降りる。
何故か涙が止まらない!( ノД`)シクシク…
ま、要するにオレの場合、軟弱な人間が頑張りすぎたらしいのですわ。
幸い初期の兆候で気づきましたので今は元気です。
はああ~生きるってツライものですな~(しみじみ)
そんなわけで、メンタル不調に明け暮れた2022年でしたが、今年読んだ漫画作品の中で「生きる」をテーマに3作品選んでみましたのでお付き合いください。
血の轍 押見修造
13巻 (2022年4月発売)
14巻 (2022年11月発売)
毒親に抗い生きる
すごく親思いの人とかすごく親と仲良しの人を見ると、幸せな人だなあとうらやましく思います。
世の中そんな幸せな親子ばかりじゃないんだぜ。
そう言えば「毒親」や「親ガチャ」などというワードをよく耳にしますが、今の人は親に幻想を抱きすぎじゃないかしらね?
昔から親なんてそんなに立派な者ではないですよ。
「血の轍」は中学2年生の男の子・静一とママの関係性を描いた漫画でして、いわゆる毒親なんですがね、もうねー、息子を吃音になってしまうほど母親が精神的に追いつめる姿は非常におぞましいものです。
静一はそれでもママが好き!ってか、そうなるように支配されてるんですが、もはや毒親と言うよりはサイコパスでして、作画も大変凝ったものになっています。
13巻では、20年の時が経過し36才になった静一が登場し衝撃的でした。
彼は24時間のパン工場で深夜勤務しながらアパートに一人暮らしてまして、他人と関わるのを避けながら孤独に生きてましたよ。
今でも慌てると吃音になってしまう姿に、彼の心の傷の深さを思います。
母親に翻弄されすぎて、大人になって母親と離れても、いまだに自分の人生を生きられないでいるのです。
しかし「血の轍」というタイトルには、虐待の連鎖みたいな意味があるのです。
子供を虐待した母親を「なんてヒドイ母親だ!けしからん!」と非難するだけでは虐待がなくならないように、毒親には毒親の事情があるんです。
なぜ毒親となったのか?その理由は母親自身の人生の中にあるのかもしれません。
東京ヒゴロ 松本大洋
2巻 (2022年9月発売)
信念に生きる
漫画家が描く漫画業界の漫画って、たいてい面白いんですよね。
主人公の塩沢さんは中年のベテラン漫画編集者なんですが、彼を筆頭に登場人物たちはみんな漫画が好きでたまらない人たちなんです。
ただ、好きを仕事にするってのは、幸せなようでいて苦しみも多いんですよね。
大手出版社をやめた塩沢さんは早期退職で得た退職金をつぎ込み、もう一度漫画を作ってみようと決意。かつて共に仕事した漫画家たちを訪問し執筆依頼をします。
塩沢さんは業界でも有名な優秀な編集者だったみたいですが、肩書もなくし、私費で出す雑誌に執筆してくれる漫画家が果たしているかしらね?厳しいよね。
今も売れてる人もいれば、もう描くのをやめた人、描けなくなった人、もう様々なんですが、塩沢さんて朴訥で誠実な人柄でしてね、塩沢さんだからこそ彼らが語るこれまでの漫画家人生がとても沁みるのです。
ああん漫画家ってほんとに大変なんだよなあ~って改めて思いますし、もうね松本大洋氏の作画に哀愁がありまして素晴らしいんです。
漫画は漫画家だけで作るものではなく、漫画家と編集者が車の両輪のように一緒に作り上げるものだということもわかります。
漫画を描く人も作る人も、漫画に人生を賭けてるんだなと思いますし、そういう人たちへの静かなリスペクトにもなってます。
塩沢さんが作ろうとする漫画雑誌は、きっと漫画通が喜ぶシロモノだと思いますが、商業的にどうなのだろうか?
コーポ・ア・コーポ 岩浪れんじ
4巻 (2022年2月発売)
5巻 (2022年10月発売)
底辺に甘んじて生きる
これは読むと癖になる作品でして、古びたアパートに住まうどことなくヤバイ人たちの物語です。
そこはかとなく漂う底辺な感じが、こんな暮らしは嫌だなあと思いつつも、不思議な魅力があるんですよね。
たとえば真鍋昌平氏が描くような現代のおっかない底辺(もー八方塞がりで逃げ場のないやつ)みたいのじゃなく、底辺でも皆どこか飄々としていて、ふてぶてしくて泥臭くなんか滑稽なのです。
物語は4人の主要人物と彼らに関わる人とを主人公にした群像劇の構成になっていて、寺山修司的昭和の匂いがたまらんです。
這い上がりたいと思いながら何ら努力するわけでもなく、彼らから感じるのは諦観であり日々を流されて生きるだけです。
生きるって、人生なんてそんなもんだって、諦観しながら淡々と生きてる。人生の機微がジワリますわ。
おらも「今年のベスト」みたいなのを書かねばと慌てて書いてみた次第です。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
来年もよろしくお願いします。