akのもろもろの話

大人の漫画読み

漫画/「黄泉のツガイ」③ (ネタバレ)感想

東の村で生まれた夜と昼を分かつ双子は夜に生まれた兄はユル朝に生まれた妹はアサです。しかしユルがアサだと思っていたのは偽物で私こそ本物とアサを名乗る娘に村を襲われ平穏だった生活は終わりを告げます。左右様を従えツガイ使いとなったユルは下界でデラとハナの協力を得て両親の行方を知るためアサを探し影森家とぶつかり合う。
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いったい誰と誰が戦ってるんだという話ですが、摩訶不思議アドベンチャーな結界の中で昔の暮らし(これはまだ鉄砲がない弓矢の時代です)を送る村落「東村」と東村から下界(現代の日本)に分家して村とは決別した「影森家」でして、アサは影森家に身を寄せています。

しかしながらアサでさえ正体がはっきりしない今の時点ではどちらが善でどちらが悪なのかわからずユルはそれを見極めようとしています。

話はユルがまだ幼い頃に遡りまして、父と山奥に狩りへ行ったところ突如何者かに命を狙われ危うく父に助けられたのですが、怯えるユルに「これが殺意だ。生きている限りこれを何度も投げつけられるだろう。この先おまえにこれを向けてくる者に躊躇するな」と父は戒めます。

おまえは一生命を狙われるんだよ的な事を父親から示唆され不安なユルを癒したのはアサでした。

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この奇妙な家族団らんですが自由なユルと違いアサは村の奥にある牢に幽閉されていて「おつとめ」とやらを果たしているという話でした。

そして若き日の父が若き日の母になにやら呟きそれから2人は兄妹を置いて村を出て行ってしまった・・・・とユルは思っていたのですが、牢の中のアサは偽物だったと判明しましたから父と母はアサを連れて3人で村を出て行ったんですね。カワイソウネー

さて影森家でアサと対話したユルはアイパッチをした右目のことを尋ねました。

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驚くなかれアサは東村の刺客により自分は一度死んでいると言うのです。

東の村で夜と昼が等しい日に日の出を境に生まれた男女の双子は黄泉の国へ渡りツガイを統べる者になる

アサが聞いていた村の言い伝え通り、死んだアサは死者の国と現世の国の境目にいるツガイの「解」の方に会ったと言います。

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不可思議な話ですね。

そこは日本神話でいうところの黄泉比良坂(よもつひらさか)のような場所らしい。

黄泉比良坂とはイザナミに先立たれたイザナギが最愛の妻に会いたくて黄泉の国を訪ねるのですがその入り口が黄泉比良坂だと言われています。

余談ですが島根県松江市東出雲町にはここが黄泉比良坂だという場所が実在してるのです。行ってみてえ

アサは生か死の選択を迫られます。すなわちここで死ぬか「解」を受け入れてもう一度自分の生きる世界に戻るかの二択です。

「解」の強大な力を持てば英雄にもなれるがその力を利用せんとする輩が群がって来て好むと好まざるとに関わらず地獄のような世界で戦いに明け暮れる事となるのは明白。

アサは兄の事を聞いてみますがユルは来ていないユルが行くとすれば「封」がいるところだと言われます。

アサは生を選び「解」を受け入れその力を我が物としたのです。そのため右目はチョット説明困難な状態になっており(強そうな感じとだけ言っておきますスイマセン)アイパッチは単なる萌え要素ではありませんでした。

そこへまあいけしゃあしゃあとデラが乗り込んで来ます。

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デラこと田寺リュウは代々東村と下界をつなぐ連絡係兼物資調達係の田寺家の人間で、東村からユルを連れ出し父親に偽装して庇護しています。

ユル本人の知らぬところで影森家とは敵対関係にあるのですが大胆にもユルを迎えに来たと言うわけです。

大人の事情など斟酌せずに賢いのかそうでもないのか少年らしい真っ直ぐさなのかただ単純なだけなのかユルは影森家を信じるというアサの言い分だけでは片手落ちだからデラの話も聞きたいと言い出します。

 

俺は一度死ぬと「封」の力を得るらしい

デラさんも左右様も知ってたのになんで俺に黙ってたんだよ

確かに自分の身にかかわる重要な事なのにユルはずっと蚊帳の外で何も知らされてこなかったのですから恨み節の一つも出るってもんです。

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まあちょっと整理しますと「東村で夜と昼が等しい日に日の出を境に生まれた男女の双子」が生まれた時代は世が割れると言われています。その運命の双子がユルとアサであり、双子はそれぞれ一度死んで「解」と「封」を手に入れることが出来るはずです。

しかし必ずしも死んでも生き返る保証はないとデラは言ってるのです。

 

さて影森家には3人兄弟がいましたねん。

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なんかほのぼのとした長男になんか企んでそうな次男になんか殺気だってる三男です。

影森家のお館様にデラが聞きます。

「影森さんは最終的に双子をどうしたいんですか?」

東村はいまだ古い価値観に縛られて天下を取る夢を捨てきれない哀れな村だ。アサとユルを最後の運命の双子にして東村はそろそろなくなったほうがいい。「解」も「封」もない方がいい。

と、おやっさん明確です。

でも次男はそうは思ってないようでしてね、選ばれし力を持つ者は世を平和に統治するために使う責任がある。影森家ならコントロールできる。

などと影森家も一枚岩ではないようです。

だからもうユルはめんどくさくなった。

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世間知らずで怖いものもないんだね。ああ君は若いよ。

影森長男が「ユルくんは攻撃ターンがガンガン行こうぜしかないタイプ?」とコッソリ三男に聞いたりして一座は呆れた雰囲気が漂いますが左右様だけはめっちゃうれしそうなのです。

 

➂巻出たばかりですがまだまだ序の口。善悪が明確でなく「解」と「封」の能力も未知でツガイも曖昧ですが安心安定の荒川節でこれからの展開が楽しみですねん。ハガレンコエルぞー