皆さま、どうも。
ご無沙汰しております。
しばらく留守にしておりましたが、久し振りにはてなブログを開きましたよ。
3月26日に発売した、あたくしの大好きな漫画「アンゴルモア元寇合戦記博多編」9巻の感想をそこはかとなく書いておきますので、よろしく哀愁。
さて、世界最強蒙古軍団が日本に襲来した文永の役も終盤。
博多に押し寄せた蒙古軍2万を相手に、鎌倉武士よくぞ戦ったものです。
博多を打ち捨てた日本軍は、九州の最重要拠点・大宰府を死守するために大宰府の防壁を担う水城(みずき)に退却しました。
水城は全長1.2キロのただの土手なんです。
それも大昔に異国の敵を防ぐため築かれた遺物なので、今や草木が茂って周囲は牧場となり水濠は泥田に変わっていましてね。
大宰府を背後にした日本軍は、水城を正面に蒙古軍を待ち受けます。
やれやれこんな朽ち果てた場所で蒙古を防げるかのお?
博多では大集団から小集団まで無数の御家人たちが馳せ参じましたが、武士は個人の力量を頼み自分が手柄を立てるために戦いますから、イマイチ集団戦ができないんですよね。
我らが朽井迅三郎が立てた奇襲作戦も、大友頼康の思わぬ先駆けでもって失敗に終わっちゃったし、なんだかなあ・・・無力感に包まれちゃうわね。
万策尽きた感の迅三郎でしたが、肥後の水軍大将赤髪美女の大蔵太子ちゃんから、水城の切れ目から流れる御笠川を川舟で打って出ようと誘われたのですがな。
かっこよ
川の流れの勢いに乗り、寄せ手の蒙古軍を突破して、一気に大将まで仕掛けようっていうね。
なんかもう小さな船でございますが、戦場に神出鬼没のヴァイキングが突然現れたかのような驚きでワクワクが止まりません。よく考えたよねー
もっともこの時代の資料はそんなにないでしょうし、少弐景資や菊池武房や竹崎季長なんかの史実エピソードは使い果たしちゃったから、後は朽井迅三郎にオリジナルな脚色で活躍させるていですよね。
ただこの作戦は水の勢いまかせの出たとこ勝負ですよって、どこまで行けるかわかりませぬ。
総大将・少弐景資も「どいつもこいつも勝手しおって」と怒りながらも「あれでは帰りの足がない」と憂慮してるの好き。
しかしながら、これがまた思いがけずも蒙古軍大将ガルオスの前まで、あと三十歩くらいの所に出ちゃう。(ご都合主義って言わないでー)
迅三郎の殺気!!
相手の懐に飛び込んでしまえば、蛮族鎌倉武士取りますわよ大将首。
と勢い込んだものの、邪魔が入り駄目だったのですがね。
一瞬、みんなが「いける!」って感じる描写が良かったです。おしい
鎌倉武士であり流人となった朽井迅三郎が、流刑地対馬で島民と共に蒙古と戦ったのは、自分の家のためでもなく、対馬に縁があったわけでもありませぬ。
もう御恩も奉公も関係ないのに(戦好きの血が騒いだのはある)、ただ鎌倉武士だから一所懸命という言葉が好き。好きと言うか生き様。
共に戦い死んでゆく者を看取り、時に怯え背を庇いあううちに互いが互いの命がけの一所となり、迅三郎は対馬の人たちが忘れられないんですよね。
そもそも博多で戦っているのも、生き残った対馬の島民を飢えから救うため米を送るためだもんな。漢だなー
迅三郎にとっては戦いの中にこそ生があり、死をも覚悟することは全力で生きることなのだと思います。
「もう対馬のことなど忘れてしまえ」と足を踏まれながら太子ちゃんから言われたりしまして。
これは「目の前の私を見て」と言われたのと同様。
対馬の輝日姫もそうでしたが、モテますな。
そんなこんなで水城には蒙古軍があとからあとから攻め上がって来ます。
もう退くしかないのかと思った所で、援軍やっとこさ到着。
対馬、壱岐、肥前・・・次々と蹂躙してきた元軍が目指した大宰府に、九州の御家人たちは集結しました。
ところが、薩摩・日向・大隈など南九州の御家人たちが博多に馳せ参じるには、九州一の難所と言われる築後川の神代の渡しを渡らねばならないのですが、前夜の風雨で水かさが増しすぐに渡れませんでした。
そこで、この渡河場を管理する築後の神代良忠が一計を案じ浮橋を架け諸軍を渡したのです。
船を並べて作った浮き橋。
かなり揺れるでしょうね。
戦闘シーンも迫力あるし、こういう描写もいいですね。
このトリッキーな作戦で南九州の諸軍を速やかに博多へ動員させることに成功した神代良忠は、北条時宗から感状を与えられています。
感状とは、武将に対し主君や高位の者が与える今日の表彰です。
感状は武士にとって重要な物で特に再仕官する時に使えましたのよ。
ってなわけで、バラバラだった武士たちもやっと結束し、日本軍はなんとか戦い抜き、元軍は撤退したわけです。
気になる所は「文永の役で神風はあったのか?」ですが、なかったですよね。
ちょっとした暴風雨くらいで台風じゃなかったし。
とゆうことは、神風なんか吹かなくても実力で勝ったってことかしらね。
ラストは怪我をした両蔵が地元民に助けられ蒙古軍の残党と出くわしてしまうのですが、文永の役は決着を見たけれど、物語はまだ続きそうであります。
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