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竜馬がゆく 第9巻 感想(ネタバレ)丸亀から長州へ竜馬の旅は人との出会いと己を知る旅 原作司馬遼太郎 漫画鈴ノ木ユウ

武市半平太が構想する土佐郷士三百人で作る「土佐勤王党」。

そこから土佐の藩論を勤王倒幕へまとめたい武市ですが、目の上のたんこぶは藩の重鎮でありバキバキの佐幕派「吉田東洋」ざんす。

前巻の感想はコチラです↓

 

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「吉田東洋を斬る」!!

と、土佐郷士・那須信吾は思いつめた顔で告りましたな。

武市や竜馬とは違い那須は貧乏郷士であり、才もなく、だがしかし、この土佐の国を想う心なら誰にも負けないと言うんです。

東洋が藩政の首座にいるかぎり土佐藩はどうにもならぬ!どげんかせんといかん!

 

那須さん、熱いっす。

熱いけど、竜馬にはそれが狂気のようにも感じられてしまうのです。

まさかそんな事を許すのかと武市に詰めよれば、半平太ったらもう「許さんが・・・しは知らんかった事にする(小声)」とか言うわけですよ。ムキ―、武市まで狂ってるやんけ。

(ってか、武市ズルくない?)

とにかく竜馬は大反対します。

仮に暗殺が成功してもその後どーするのさ。

上士からの恨みを買い土佐藩は大変な事態になるでしょう。

なぜ武市ほどの男がわからないのか。

暗殺なんてダークなやり口が性分に合わない竜馬は、2人の暗さや深刻さにやりきれなくなってしまいますが、実は武市の方でも内心では竜馬に言うんじゃなかったと興醒めしていたのですがな。

謹直な武市にすれば竜馬は真剣さが足りないように感じられてしまうのでしょう。

竜馬は自分が旅から戻って来るまで計画は待って欲しいと頼みましてね。

藩から旅の許可が下り、竜馬は土佐を出立しますが、武市はうるさいのがいなくなったとばかりに東洋暗殺計画に取り掛かるというね。

┐(´д`)┌ヤレヤレ

 

竜馬の旅の目的は「剣術修行の為に讃岐の国丸亀藩に行く」と言うのは見せかけでして、長州まで足を延ばしリアルの勤王倒幕運動をこの目で見る事です。

ところで丸亀と言えば丸亀製麺ですが(好きです)ちなみに丸亀製麺は香川県丸亀市発祥ではなく丸亀には店舗もないそうです。

丸亀製麵創業者が丸亀市を訪れた時、うどんを出来立てで食べさせる製麺所に客が行列してるのを見て考えたネーミングらしいです。

どうでもいいですね。

竜馬は丸亀城下の矢野道場にて1人VS30人の他流試合と言う名の集団リンチに勝ったり、お初という居酒屋を営む女といい仲になったりしゃらくさいですね。

いったい丸亀で何をしたかったんでしょうか?

竜馬はどうやら丸亀藩士に倒幕運動への奮起を促したかったようですが、それよりも竜馬自身が、剣で勝っても相手の名誉を傷つけ恨みを買うだけだと学んだ事が大きいんじゃないだろか。

いよいよ長州へ潜行するんですが、長州へ行く荷船に乗せてもらおうとしたら旧知の七蔵が船頭でして、船の上では晴れ晴れと楽しそうな竜馬の姿が良いですね。

 

さて、長州。

まず竜馬は武市からの手紙を渡すために久坂玄瑞に会いました。

久坂は師の吉田松陰が刑死して亡き今、長州では松陰の後継者と目されるイケイケの23才です。(竜馬より5才下)

昔の23才はしっかりしてたんだよねー。

しかし竜馬はこの年若い久坂がとてもせっかちで落ち着きがない人だったので、まったくもって呆気に取られてしまいます。

挨拶もそこそこに「長州はもうダメです」と言い出したと思ったら、長州では長井雅楽という家老がヒドイ佐幕人で勤王論を圧迫し我々に理解のあった家老は長井によって蹴落とされたのだと一気にまくしたてるのです。

久坂は長州の過激な最先鋭の志士であり、火の玉と称される激越な口調で有名です。

武市の手紙を読むと「ああ~土佐もダメですか」と言うので、ダメと言うのは江戸で武市と約束した薩長土3藩による京都挙兵の事のようです。

そしていきなり「坂本さん」「互いに脱藩しましょう」とか言い出し、先様は竜馬の話を全然聞かず、ここは笑う場面ですが本当にこんな人だったのでしょうか?。疲れる。

竜馬ゲンナリ

剣技を見せて欲しいと道場に連れて行かれたけど、丸亀藩で懲りた竜馬は久坂にわざと負けてしまい周囲を茫然とさせました。

世の中の認識はまだ「土佐の坂本といえば剣客」なんですよね。

もう辟易した竜馬は相手にならなかったのです。

 

吉田松陰が弟子の中で一番期待してたのは久坂玄瑞だったと聞きますが、革命で大事なのは気概と行動力だという松陰の教えを体現するような人物だったんでしょうね。

なかんずく「長州藩も土佐藩もそれ以外の全ての藩も滅んでもかまわない」というセリフに久坂の激しさがよく表れています。

すごいんだなあ。

武士の言葉とは思えませぬ。

藩などなくなってもいいってか。

 

おまんは思ったよりすごい男じゃの(これを聞いて見直した久坂への褒め言葉)

久坂のように己れの身を捨ててかかれる人間が、今の世の中には必要なのかもしれないと竜馬は思いましたとさ。

竜馬も久坂も国を憂える気持ちは大同小異でありんす。

さてまた久坂の言った「脱藩」というワードが心に引っかかる竜馬でした。

 

かくて土佐に戻ってみれば、東洋暗殺を目論む武市半平太に迷いはなく、武市が策士すぎてドン引く竜馬。