akのもろもろの話

大人の漫画読み

司書正 丸山薫 感想

司書正 3巻 
著者:丸山薫
KADOKAWAハルタコミックス
発売日:2025/3/14
既刊3巻


ハルタで連載中の「司書正」は現在3巻まで刊行されてるんですが、これがなかなか面白いんで感想をまとめておくこととします。

舞台は古代中国でして、国のすべての書物を収めた王宮の書物庫「蔵書楼」の主である「司書正」とは、数多の書物を諳んじる驚異の能力で王に使われる為の道具として存在しています。

天命によって司書正に選ばれた者は自我を失い抜け殻のようになってしまうので、同じく天命によって選ばれた側女に付き切りで世話をされ、儚い生涯を蔵書楼で過ごすのです。

 

さてさて、キビという少女が側女として連れて来られますが、司書正は若く美しい青年でしてね、会話はできず歩行や立ち上がりは不安定で日常生活の全般に介助が必要な状態なのに驚きます。

つまり側女とは性的なものではなく介護者であり、命が数年しか持たないという司書正の命をできるだけ永らえさせるのが使命なのです。

司書正の存在は国家機密とされ知るのはごくわずか。

なんと司書正は王の息子・蓮公子だったんですが、聡明で美しかった愛する息子が司書正に選ばれ(これは王でも拒めない)生ける屍のようになってしまったのが受け入れられない王は、蓮公子は死んだことにして蔵書楼も封鎖してしまったというね。

陰気でかび臭い蔵書楼の中でたったひとりで司書正にかいがいしく仕えるキビでしたが、ある日、王が司書正の検分にやってきます。

凡庸な王はかつての愛息の変わり果てた姿が見たくなくて始終不機嫌でしたが、司書正を起動させる暗号のような言葉を唱えると話せないと思っていた司書正が言葉を発しますがな。

司書正は蔵書楼のすべての書物を記憶していて問われればたちどころに機械のように暗唱できるのです。

うーん、それはスゴイけど・・・・・・

インターネットもなんもない時代で紙の本がいかに貴重かと考えれば司書正の価値もわかりますけどね、なんか司書正の凄さがイマイチ伝わってこないのよねー

ちょっと残念なポイントです。

3巻では蔵書楼の官長の息子が司書正の謎に首を突っ込み過ぎて都から放逐され放浪中なんですが、この人が司書正の謎を解き明かしそうな流れです。

それによれば、司書正は人の力で作り出された「霊宝」でその得難い力は国勢を倍する偉大な武器となった。

ってことですから、まだまだそこまでの凄さは描ききれてないよね。

ナルトで言えば非人道的な所とか人柱力みたいなシステムかしらね。

 

この司書正の謎と共に、キビも謎ですねん。

キビは蛮人だと言われています。

蛮とは、古代中国で中国大陸を制した朝廷が自らのことを中華と呼び、中華の四方に居住し朝廷に帰順しない周辺住民を東夷、北狄、西夷、南蛮と総称した異民族への蔑称を意味します。

蛮は洛陽盆地の南方の山岳地帯で焼き畑を耕す農耕民でありました。

肌の色も浅黒く描かれています。

異民族の少女がなぜ司書正の側女に選ばれたのか不明ですが、彼女は村の巫女の家系に生まれ、自分の魂が小鳥に入って空を飛ぶなど超常体験をしています。

蔵書楼では亀卜に使用された亀の精霊と出会い、キビの魂が司書正の中に入ってしまうのですが、そこは泥濘に足を取られ風が吹きすさぶびょうびょうたる荒地で、ひとりぼっちで立ちつくす司書正の後ろ姿は泣きたいほどに孤独で怖い光景でした。

キビはとても賢く、王が唱えた暗号が自分の育った村の童歌に似たことに気づき、側女の分際で司書正を発動することができ、本人は「司書正さまとお話している」気分なんですが、司書正は脆弱で使いすぎると倒れてしまうんだよね。

 

謎が謎呼ぶ2人に宮廷内のよくある陰謀が絡んで来まして、実は蓮公子は王の庶子でしてね、ちゃんと正室と第一皇子がいるのよ。

にもかかわらず王が側室ばっか寵愛してるから、権力を掌握したい正室にとって蓮公子は邪魔者ってかもう憎悪の対象でしかないわけです。

しかも正室サイドは男女関係がドロドロでして、こっちはこっちでよく描けてて嫌いじゃないけど。

帰る場所もなく蔑まれ怯えて生きてきたキビが、蔵書楼で司書正と過ごす静かな時に安らぎを感じる場面はとても美しいと思います。

そして、司書正と側女の間には余人には計れない深い縁があり、側女以外の人間が司書正に触れると寿命を短くしてしまう事になるんだからエライこってす。

なのに3巻で登場した正室の第二子の姫は蓮公子大好きな我儘娘でして、司書正となった蓮公子を病と勘違いしキビが止めるのも聞かず自分が介抱すると添い寝して司書正が危うく死にそうになってしまうのです。(いい迷惑だわー)

司書正を救う為、彼の冷え切った体を温める為に全裸になったキビのお胸は真っ平でして、少女というよりもまだ幼女ではないですか。

女の子のお胸が膨らみ始めるのは何才位からだっけ?と遠い目をした私でした。