
著者:岡田屋鉄蔵
少年画報社ヤングキングコミックス
「MUJIN 無尽」という漫画があるんですけど。
ヤングキングアワーズで連載中の岡田屋鉄蔵氏の作品でして、主人公は幕末の剣客で幕臣の伊庭八郎です。
幕府遊撃隊の箱根の戦闘で負傷し隻腕となった伊庭八郎は錦絵にもなるほど江戸っ子に大人気でした。
幕末ファンにはよく知られた存在ですが、悲しいかな現在の知名度はいまひとつかもしれませんねえ。
しかしこのコミックスの表紙絵もなんかカッコ良いですし、前から気になっていまして。
現在13巻まで刊行されていますので、これは全巻イッキに買おうかしら、でも面白いのかな・・・なんぞと心が迷ってしまい、結局kindleで一冊づつ買いながら読めるところまで読んでみることにしましたのよ。
主な登場人物
〇伊庭八郎 粋な江戸っ子 江戸で有名な剣術道場の跡取り またの名を伊庭の小天狗
〇伊庭軍兵衛 心形刀流八代目 八郎の実父 いいパパ コレラで他界
〇伊庭軍兵衛 心形刀流九代目 地味な苦労人 先代の遺児である八郎を養子にする
〇鎌吉 板前 大人なのに自称八郎の子分
他多数
以下あらすじ(箇条書き)
・冒頭で片腕を失う戦闘シーンから始まる。そこから時を遡り、なんとこの作品は伊庭八郎の幼少期からじっくりコトコト描いているのだ。
・八郎の生家は江戸四大道場のひとつ心形刀流の練武館で伊庭道場といえば荒稽古で有名。伊庭家は代々世襲に拘らず門弟の実力者を養子として家督を相続させてきた。偉いやんね。八郎は先代の八代目の実子です。人間関係が複雑。
・冒頭の戦闘にて負傷した八郎を背におぶって逃げた鎌吉が登場し、いい大人が弱冠9歳のクソガキの八郎の子分になる。(なんだかよくわからない展開。この頃からのつきあいという事か)
・八郎は虚弱で父上の役に立てない自分を気に病んでいるが、鎌吉に励まされヤル気を出す。
・しかし九代目の人選が気に入らない八代目の甥っ子とか登場して家はかなり複雑。また大道場を運営するのは剣が強いだけじゃ駄目でなかなかに大変そう。
・八郎のパパ上は人柄も立派だし、親子は真剣で稽古したりする。(命がけ)
・幕末のお約束、黒船騒動。
・安政5年、八郎は元服し剣の道に進むと表明する。元服は15歳です。
・元服祝いに岡場所に連れていってもらう。
・敬愛していたパパ上がコロリで死んでしまう。
・父の死を乗り越え成長するが伊庭道場のお家騒動にはうんざり。
・幼い頃迷子になった八郎に父親が作った迷子札をずっと持ってたらしい。(迷子札は現存)
・有名な不平等条約「日米修好通商条約」締結。安政の大獄で井伊直弼恨まれる。
・八郎VS試衛館の沖田総司の他流試合。
・近藤周斎(勇の養父)に怒られる土方がおかしい。が、こんなに近藤周斎が登場する漫画は他にない気がする。
・沖田に負けちったが三段突きが激スゴだったので研究する。
・講武所入所。ところが講武所って時間を持て余した部屋住みの暇つぶしあるいは教授方の役を得ようとするケチな奴らばかりで生ぬるかったのよ。
・桜田門外の変
・15歳で筆下ろしして18歳で女郎をひーひー言わすテクニシャン。
・昔一度遊んだだけの野分太夫がもう長くないと聞けば会いに行く奇特な人。
・野分太夫は間夫のDVで死んだと知り犯人捜し。犯人は清河八郎の「虎尾の会」絡み。
・その流れで山岡鉄太郎、榎本武揚、佐々木只三郎など幕臣メンバーが続々登場。
・試衛館に滞在して修行。近藤、土方、沖田らと交流。近藤の妻おつねさんにちゃんと滞在費を払っていた事が判明。金払いがいいから吉原でモテるのも当然かも。
・遊び人のふりして芝居見物に行ったり攘夷浪士の襲撃を受け初めて人をKILL。斬る
・山岡鉄太郎との模範試合。剣豪漫画だった。
・皇女和宮降嫁。
いやーんもう無理!ギブアップ!!
「MUJIN 無尽」13巻中、6巻にて投了。
敗因
伊庭八郎は酸いも甘いも嚙み分けた粋な江戸っ子でした。
自分はどうも江戸っ子とはそりが合わないようです。
今ちょっと上記の箇条書きを読み返してみたんですが、面白く思えます。
八郎とまだ京に上る前の試衛館メンバーとの交流や新選組で一番の使い手と言われた沖田との立ち合いとか、策士策に溺れる清河八郎が絡んできたりとか、ストーリーはよく出来てると思います。
絵も上手なんです。
ただ、なんだろう?次は面白くなるのかなと期待しながら課金しましたが、世の中が目まぐるしく変化していくのに八郎はあまり変わらず、単なる剣客としての八郎の人生を描き続けて行くだけなのだろうかと思ったら絶望して6巻で挫折しました。
この時代は黒船来航から始まり、江戸幕府が崩壊し近代国家へと移行した激動の時代です。
外国の圧力に直面した国内では、幕府勢力と天皇中心の新たな国家を求める勢力が対立し「尊王攘夷」や「倒幕」といった運動から明治維新へと繋がっていったのです。
江戸の直臣たちだって代々徳川家に仕えてきた誇りと忠誠心を持つ一方で、無能に見える幕閣や現実に対応できない幕府への失望など、忠誠心と失望のはざまで揺れ動いていたはずです。
それにしては伊庭八郎が爽やかな江戸っ子なので困る。

かっこよ
きっとこの作者さんは伊庭八郎が大好きなんでしょうね。
気になったので八郎の最後を調べたら土方歳三と似たルートで箱館まで行ったんだね。
寒かったろうね。