90年代を席巻した伝説の漫画「ハッピーマニア」の後日談。
45才になったカヨコ(旧姓シゲタ)が、自分にぞっこんだったはずのタカハシから「好きな人ができた」と突然離婚を切り出されてしまう。
躊躇しながらもついに離婚届を受け取ったカヨコ。
ウーン、一人で生きて行けるのかしら。
ヒデキの不倫相手である寿子の所に行っていた耀司が、家に戻って来ました。
耀司は、フクちゃんと女性向け風俗サービスの翔太との見たくない場面に遭遇した事を思い出し、家に帰るのは気が重かったのです。
そりゃ母親と若い燕が焦りながら笑って誤魔化そうとしたってねえ、キモイ感情が勝っちゃって、ぜってー見たくなかったよね。
そんな事を思い出しながら、ドアを開けた耀司。
つかみ合いの喧嘩をするフクちゃんとカヨコでした~
これはこれでキツイ(笑)
耀司くんはよくこんな目をするな。
フクちゃんとヒデキはもう少し息子を気にかけてやった方が良いのですが、忙し過ぎて気が回らないのでしょう。
喧嘩の理由は「夢ジェルの容器ダサすぎ問題」。可愛いと言い張るフクちゃんと、他人が作った物には厳しいのになんで自社製品となるとわからないんだと首をひねるカヨコ。
そこへ耀司がさりげなく「俺もうあっちには行かねーから」と言うんで、カヨコは(´∀`*)ウフフと微笑みながら「俺が家にいる時男連れ込むな」ってメッセージだよとフクちゃんに言う。
なんかカヨコから溢れ出る親戚のおばちゃん感がその場を和ませます。
夫だけでなく息子まで取られて、フクちゃんかわいそうだったんでよかったです。
ところでフクちゃんの化粧品会社ですが、容器がクソださいだけでなく本当に業績が悪化していたのです。
それは「夢ジェル」のパクリ商品「とろたまジェル」が原因でして、成分もデザインも宣伝もパクリでしかも値段だけはお安く、新商品を出せばすぐにコピーされちゃうしで、フクちゃんは頭を悩ませていました。
でもカヨコはフクちゃんの会社の話よりも自分の離婚の話がしたいわけで、自分は傷ついてないしもう自由なんだと強がるんですけど、「それらと引き換えに安定した生活と保護者を失ったんだから仕事探さないとね」と言われてしまいます。それな。
とは言え、45才になるまでタカハシに食わせてもらって、まともな職についた事がないんだから、急に就職と言ったってキツイですよ。
それに今まで結婚している事で感じていた「守られてる感」が一気に消滅してしまって、自分が想像以上に不安になってる事にカヨコは困惑していました。
あと、カヨコは三島に誘われたけど遊ばれるのが目に見えて、あと一歩が踏み出せなくて逃げた事を話します。
スゴイ顔(笑)
カヨコはハッキリ言わないとわからない人なので、フクちゃんの言葉はいつもきつくなりがち
もう恋愛とか無理かもと言うカヨコに、恋愛じゃなくセックスだけ楽しめばよかったのだとフクちゃんは言うのです。
40代の三島は20代~30代の女とつきあうけど、どうせ40代の女は相手にしてない。
三島に部屋に誘われた瞬間にカヨコの頭はフル回転で、部屋に上がる➡飲む➡キスされたらもうダメ➡ブラとショーツが別だけど冷静に対処できる➡でも正常位は腰が痛い➡しかも陰毛に白髪が2本➡いやそもそもぬれるのか?➡田嶋嫁と棒姉妹やんけ、などと考えに考えて、もう面倒!帰って寝たい!(笑)となったんです。
まあそれは置いといても、今のカヨコには愛しいとか切ないとかやりたいとかを総合した、「ときめき」って物が全然ないんですよね。
ちょっと恋愛休んでますっていうレベルじゃなく、恋愛というジャンル自体が彼女から消え失せてしまってるんです。
45才になればそういう女性もいるよという一般論はさておき、あのシゲカヨが、あの恋の暴走機関車が、フツーのおばさんみたいな悩みに直面してるのが本作の妙味であり滑稽な所です。
フクちゃんから「男にどうこうされてる自分」じゃなく「男をどうこうしてる自分をイメージせよ」と言われモチベーションを上げたカヨコは、早速三島のマンションの前まで来ますが、なんか見覚えのある人間がいて、そいつはこの前尾行していたポロシャツの男でした。
実は尾行されていたのはカヨコ自身で、孫欲しさにタカハシと詩織をくっつけようとするタカハシ母が放った探偵だったのですが、そうとは知らないカヨコ。
探偵に自分を雇ってくれと言い出す頓狂さ。
年令聞いただけですぐ却下
でもこの人はカヨコに正体がバレた件で、彼女の勘の良さを密かに認めてて、なんかとにかく面接に行ける事になり、なんかとにかく採用される事になったのです。
ってか、45才で離婚してなんのスキルもないのに、いきなり探偵って!
初仕事は不倫調査で若い女を尾行したカヨコは、オシャレして楽しそうに歩く女をつけながら、お前の自由恋愛のせいで泣いてる人がいるんだから調子こいてんなよ!と毒づいてます。
でもよくよく考えたら人の事なんて言えないんだよね。
自分だって尾行されるような事をやって来たんだもの。
自分も若い頃は既婚者と付き合ってたくせに結婚して年とったら若い子の不倫を責めるの?
それって大人になって倫理観も成長したって事なの?
いや倫理観が成長したわけじゃなく、ただ単に自分の立場で考えを変えてるだけなんだと達観するカヨコ。
一方、耀司は「とろたま」の社長は寿子だと告発。
耀司は寿子をフツーのいいおばさんだと思ってたのに、フクちゃんの家庭も会社も社会的地位もそっくり奪おうとしている事を偶然知ってしまったのです。
寿子は男に尽くす女を徹底的に演じていて、彼女がなんでもしてくれるから男は本当に座ってるだけでよくて何もしなくなる。
耀司は賢かった
ヒデキは浮気と同時に服も靴も脱ぎっぱにするようになって、寿子に改悪されてたんだとフクちゃんも思い当たります。
男には自分に尽くしてくれるいい女だと思わせて、一人では何もできない男にしてしまい自分から離れられないようにする。こわいのお。
寿子、59才の美魔女。
下ネタ
もおっ!ヒデキったら、こんな事で喜んでないで早く目を覚まして欲しいっ!
さて、行方不明になっていた詩織ですが、実家の富山にいることが判明しました。
タカハシは大事な仕事を放り出して会いに行くのですが、恋にのぼせた暴走としか見えませんし、まるで若き日のカヨコを見るようですな。
離婚したと告げるタカハシに、もう後戻りはできないと詩織も燃え上がってしまいます。
恋愛とはなにか。私は言う。それは非常に恥ずかしいものである。
by太宰治
タカハシの考えてたカヨコの幸せは、精神的にも肉体的にも経済的にも不満がなく安心させてやる事だったんで、まあ一般的な妻の幸せですよね。
でもカヨコは瀬戸内寂聴の小説に出てきそうな恋愛至上主義の女でして、(そんな格調高くないか笑)彼女にとって真に大事なのは恋なんでね、結婚生活とかまったく興味がなかったわけです。
お互いを見つめ合う事もなく違う方向を見ていたんだもの、これは齟齬が生じますよ。
それでもカヨコ自身は、安心して暮らしていけるパートナーと引き換えに自由に恋する心を捨てるのが結婚なんだってわかってはいたんですけどね。
結婚には向いてないんだから離婚して正解だと思います。
ただ問題はまた若い頃のような恋ができるのだろか。
45才の女性ではあまりにも不利な現実だけど、いやきっとできるさカヨコならば。
それにしても、若い頃思っていたような結婚=ハッピーではなかったって話ですが、だとしたらカヨコは、フクちゃんは、これからどうやって幸福を手に入れるのだろうか。