田島列島最新作!この帯だけでもう売れそう
まずは、ザックリとあらすじをば。
長閑な田舎に暮らす8才のまりが、竹やぶで出会った不思議な少女がみちかちゃんだ。
みちかちゃんは竹やぶに落ちていた。
ってか、もう人間が「落ちていた」って言い草からしてけったいな話でして、通りがかったおばちゃんによれば「ここの竹やぶには時々子どもが生えてくる」と言うのである。
ほーん、タケノコ?あるいはかぐや姫だろか?
みちかちゃんは学校へも行かず「あの子は学校へ行かなくていいんだよ」とおばちゃんが言うのを聞き「そんなルールがあるのか!どうしたら学校へ行かなくてすむんだろう」と、まりは真剣に考える。
ああん、まりは学校へ行くのが嫌なんだね。
するとみちかちゃんは不思議な力でまりの姿になり自分が学校へ行くと言う。
2人は束の間入れ替わるのである。
みちかちゃんに言われるままおばちゃんの家に泊まったまりは早朝気になって学校へ行ってみると、いじめっ子の石崎(まりが学校へ行きたくない元凶はコイツか!)が「なんか知らない奴がいるぜ」「誰だおまえ!」と絡んでくる。
そこへまりになったみちかちゃんが現れいきなり石崎を押し倒し馬乗りになると、石崎の目玉をえぐり出し「とったどー」とばかりに食べてしまうのだ。なんて漫画だ。
しかしこれ夢魔だったのか、気づくとまりはまりに戻っていて、石崎はゲロ吐いて倒れてるものの目は何もなってない。
ところが石崎は翌日から学校に来なくなった。
そしてみちかちゃんは石崎の目玉を飴玉みたいに口に入れてしゃぶっていた。
俺は「東京喰種」のウタさんを思い出した(懐かしいざんす)
まりは、これは犯罪ではないか、逮捕されるんではないかと一人で気をもんでいた。
そこでみちかちゃんと一緒に石崎に目玉を返しに行くというね。
石崎の家に行ってみると、目はある。
あるんだが、小憎らしいいじめっ子じゃなく別人28号になっていた。
実はみちかちゃんが石崎からえぐりとった目玉は石崎のセーブデータ的なものでして、石崎は記憶を失くしてしまったのである。
セーブデータによれば、石崎の家ではおじいが厳しく威張っていて、あまりいい家庭じゃないんだよね。
まりは記憶を失くしかわいそうな子どもになってしまった石崎に責任を感じる。
でも目玉を返せば元の石崎に戻ると知り、石崎にイジメられたあれやこれやが浮かんで来てまたぞろあの嫌な日常が戻るかと思うとすぐに返す気になれず、とりあえず土に埋めるのだった。
ところがあああ、その目玉をチャーリーとチョコレート工場のウンパルンパみたいな奴らがどこかへ持ち去ってしまったからさあ大変。
みちかちゃんは「山が持って行っちゃった」と言う。
山だと??
「みちかひとりでは取り戻せないからまりも来て」と言われたまりは異世界に足を踏み入れるのであった。
とまあ、こんな話なのだが、2014年だったか「モーニング」に彗星のように現れた田島列島は寡作な漫画家でしてね、それ故ファンも多いみたいで個性的な作品で読者の心を掴む。
現在「水は海に向かって流れる」が映画化され話題だが、今作はちょっと雰囲気を変えファンタジー作品だね。
不思議な話だ。
みちかとまりが入れ替わった冒頭では、呆気にとられたまりがサワサワと風で揺れる草っぱらで一人立ち尽くす心許なさに、すわ!乗っとられる話か!と思ったら違った。
みちかはいい子ナリヨー。
と言うのは、最初に見つけた人間つまりまりがみちかを人間にするか神様にするか決められるというルールがあったのだ。
今はまだみちかは人ではないのだ。(だから落ちていたで正解なのね)
しかし神様になるというのは死ぬことではないだろか。
人間=生、神様=死、とかイメージしてしまうがのお。
「みちかちゃんて魔法使いなの?」とまりは子供が持てる語彙力のすべてで質問するけど否と首を振られ、自然界には言葉では理解しきれない事象があるってやがて知るのだがね。
正直言うと、ここまではとてもヨカッタ。
じゃあ後は悪かったのかと言われれば別に悪くはないけれど、ただ石崎の目玉を取り戻すためにあっちの世界に入り込む展開ってのがなんか安易に思えちゃう。
あっちの世界とは魂や死後の世界だと思うのだが、真っ暗なトンネルの中を乗り合いバスが走り抜けて行ったり(乗ってる客は死んだ人であろう。多分)、自分の家があって中に入ると死んだひい婆がいて「まり、こんな小さいのになんで来ちゃったの?」と悲しそうに言われるエピソードなど、田島列島にしてはチョット既視感ハンパない。
まあきっと次の巻では素敵な展開になることだろうて。
冒頭で描かれてる炎上するシーンはあれは竹やぶかしらね?
何を燃やしているのか、かなり炎上しているけど、2人の髪型も体形も変わっているから時が経過してるとわかる。恐らくあれがラストなんじゃないかな。
それにしても田島列島が描く2人の少女の可愛いさよ。
フワフワとした絵柄の田舎の光景もよいし、林道から夏の日差しが漏れて少女たちに降り注ぎ、膝小僧がちょっと汚れてる感じとかプクッとしたお手々とか最&高。
軽妙にしてコミカルなセリフも絶の妙だぜ。