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大人の漫画読み

漫画/「クジャクのダンス、誰が見た?」浅見理都 4巻(ネタバレ)

元警察官の父を殺した犯人が逮捕され事件は解決したかに見えた。

しかし父の残した手紙には、この犯人は冤罪だと書かれていて・・・?

じゃあ父を殺した犯人は誰?

「KISS」(講談社)で連載中のサスペンス漫画「クジャクのダンス、誰が見た?」4巻の感想を書いときますので粋でよろしく。

(浅見理都「クジャクのダンス、誰が見た?」4巻講談社KCKISS)

ラーメン屋のおじさん染田の死と松風弁護士が推薦されたわけと「東賀山事件」の被害者林川家と松風弁護士の生い立ちと

さてこれまでのあらすじをざっと書きますと、山下心麦(21才)は警察を定年退職した父の春生と2人で暮らしていたのですが、自宅が放火され父が殺されてしまうのです。

犯人として逮捕されたのが遠藤友哉でして、彼は20年前に一家6人惨殺の猟奇殺人事件「東賀山事件」を起こした死刑囚遠藤力郎の息子でした。

当時事件に関わった春生を逆恨みしての犯行だと思われました。

ところがところが、父は自分が殺される事を予想した手紙を残していまして、そこには6名の名が記載されていて、自分を殺した犯人として逮捕されたらそれは冤罪だとあり、遠藤友哉の名があったのですな。うーむ

また、そうなった時は松風義輝という弁護士に依頼するようにと弁護士費用として3百万が同封されていたのです。

そこで心麦は松風弁護士を訪ねますが、当の松風は「なんで俺が??」と全然心当たりがない御様子。おっかしいなー?

そんなこんなで、不器用で真っ直ぐな心麦と一癖ありそうな松風が次第に心を通わせながら真犯人に迫ってゆくのですが、これがまた伏線を張り巡らせた重厚なストーリーで面白いんです。

 

父親が殺された事件が20年も前の事件に繋がってゆくわけですが、今のところ「東賀山事件」の犯人は遠藤力郎ではなく、真犯人に辿り着いた山下春生が口封じの為に殺害され遠藤友哉は罪を着せられた。っぽい話でして。

東賀山事件」の真犯人が「山下春生殺害事件」の犯人に思えますが、ただ個人の犯行というより、なにかもっと大きい力が動いてる感じがします。

また、遠藤友哉は何かを知っている風なのに弁護人となった松風に本心を明かさず、週刊誌記者の神井となにがしかを共有しており、松風は2人に翻弄されてるみたいで不憫。

それにしても遠藤力郎と遠藤友哉は親子で無実の罪を着せられてるとしたらコワイワヨネー

あとDNA鑑定で心麦と山下春生は親子ではない事が判明しましたんで、んじゃ心麦は誰の子なんだー?

神井の言うように「東賀山事件」で生き残った「林川歌」で、彼女は単なる被害者家族ではなく「東賀山事件」の重要な鍵だとしたら、物語はますます混迷を深めます。

 

まあマックス怪しい人物は、ラーメン屋の染田に接触していた帽子の男ですな。

春生の手紙を捏造したというトンデモ容疑で警察に引っ張られた染田が、虚偽の自白をしたのも何か言い含められてたっぽいですし。

染田は世間がバブルに浮かれてた時代、真面目な畳屋だったのですが銀行の口車に乗って設備投資をした挙句バブルが崩壊、店は倒産、妻子とは離婚。

自暴自棄になってクスリに手を出し、偽ブランド品の偽造やサインの偽造で警察に捕まり、刑事だった春生と出会ったのですな。

もっと希望を持って生きてほしいと願う春生の言葉で染田は必死で更生し、屋台でラーメン屋を営むようになると春生は常連になり家族も連れて来ていたのです。

真面目に更生してたのに、春生と懇意にしていたために禍に巻き込まれてしまい哀れなんです。

心麦はいなくなった染田を心配し何度もかけた電話がやっと繋がったと思ったら出たのは赤沢でして、染田は河川敷で倒れていて亡くなったと言われます。

自殺の可能性もと言い出す赤沢に「手紙を偽造したと嘘をついたと私に泣いて謝った」と、心麦は自殺するわけがないと否定しますが、赤沢に「松風弁護士に騙される前に距離を置くように」と言われてしまうのです。

トイレで一人泣いちゃう心麦

赤沢の言葉に無駄に混乱させられ、何を信じていいのかわからなくなる心麦。

親を殺され一人ぼっちになり染田も不可解な死を遂げてしまった今、傷つき心もとない思いで懸命に気を張ってきた心麦も限界でしょうね。

もう、色んな事が起こりすぎるんだって!

そして、外で彼女を待ってる松風は・・・

この表情!

実に苦渋に満ちた表情で、屈指の名場面じゃないですかやだー(・∀・)イイネ!!

 

彼は被害者の娘に依頼され犯人の弁護をするという、フツーじゃあり得ない複雑な立場です。

そして真っ直ぐで暴走し過ぎるきらいのある心麦を、心配するあまり自分の弁護士事務所でバイトさせ見守ってるんです。

でも辛いならここのバイトは辞めていいんだよって、松風の親友・波佐見弁護士が言ってくれるんですが、松風の「前を向くかどうかは自分で決めて欲しい」という強いエールで心麦はバイトを続け必ず真犯人まで辿り着いてみせると心に誓います。

 

しかし春生はなぜ手紙で松風弁護士を指定したのでしょうか?

松風と心麦は春生の手紙に名前があった三木田辰雄を(「東賀山事件」の遠藤力郎の元弁護人)訪ねますが、そこで理由がわかりました。

加えて「東賀山事件」の被害者・林川家のあれこれや例の林川歌を引き取った親戚の名が津寺井幸太で春生の手紙に名前があった人物だったのです。

更に「人として真っ当だ」と松風の真摯さを褒めてくれた三木田の言葉に「俺は全然真っ当じゃない」と過剰反応し出す松風。

そこから松風が子どもの時に別れた警察官だった父親の話とか松風の過去と赤沢が繋がって来るし、赤沢の妻も優しそうな顔してなんか怪しいし、赤沢も怪しいし、神井も怪しいし、阿南検事もめっちゃ怪しいし、怪しいヤツばっかなのです。

真相を握ってるのは誰なんだ?くそーモヤモヤしちゃうなもー

クジャクのダンス、誰が見た?とは、誰も見てなければなかったのと一緒!ってな乱暴な比喩なんざんすが、逃げ得があったら警察もいらないし世の中終わりだよねえ。

早く続き読みたし。