「平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER」を見た。
仮面ライダークウガから始まって現在放映中の仮面ライダージオウまで、平成を戦い抜いた仮面ライダーの歴史も終わるのね。
仮面ライダージオウチームと仮面ライダービルドチームのそれぞれの仲間たちが次々記憶をなくしていく。
そこへ現れたシンゴという男の子は、仮面ライダークウガは知ってるのになんでかそれ以降のライダーは知らないと言う変な子供だ。
初代さまとも言うべきクウガは2000年に放送してたんだから、シンゴが生まれる前のはずだしなんか妙なのよ。
そしてソウゴと戦兎が助けようとしたにも関わらず、シンゴはアナザーライダーに拉致されてしまうのだ。
そんなこんなでソウゴが高校へ行くと、アタルという名のツクヨミの事を知っている男子生徒がいて、彼は知ってるはずのないライダーの秘密を知っているのである。
うれしそうに話しかけてくるアタルに不審感を拭えないソウゴと戦兎だが、とんでもない事を聞かされる。
自分は仮面ライダーのファンで、イマジンのフータロスと契約してライダーが現実にいる世界を作ってもらってるんだから、仮面ライダーは僕の妄想の世界の産物なんだと言い出すんである。
「仮面ライダーは現実の存在じゃない」
・・・ソウゴショック。
真相を突き止めようとするソウゴと戦兎の前に、すべてのライダーの歴史を消し去ろうとするスーパータイムジャッカーのティードが現れる。
ティードはアナザー電王やアナザーWを操り、仮面ライダーを消す為にシンゴを手に入れ封印しようと企んでるのであった。
平ジェネのシリーズって、レジェンドの仮面ライダーが客演するだけのお祭り映画ってだけじゃなく、ストーリーがしっかりしてるから見応えがある。
面白かったけど感動するシーンもあったけどライダーが大集合するのも良かったけど・・・
うーん、今回のはねー、少し設定が複雑すぎてなんかよくわかんなかったな。
あのティードって凶悪そうな人は、なんであそこまでライダーの世界を消そうとしたかったの?
あと一緒に見に行った友人が、ピンチになってデンライナーが助けに来た途端にウッ、とか言って鼻をすすりだしたんで
「えっ、そこ泣くとこ?」と思って隣が気になっちゃって・・・
泣くんなら佐藤健氏が出たとこだよ。
でもまあゲイツのソウゴへのツンデレっぷりとか、ソウゴに翻弄されるウォズとかジオウは見てて楽しいな。
あと子供がお母さんを待ってるみたいな感じで、戦兎を待ってる万丈とか笑ったな。
その後お約束の戦兎のバイクで2ケツだから、二人はもうすがすがしいほどの安定感。
これは仮面ライダーの戦いであると共に、シンゴとアタルという二人の兄弟の物語でもあるわけで、兄弟愛も良かったと思う。
平成ライダー勢揃いという大仕掛けなラストに向かって、一気になだれ込む展開も胸アツなんである。
自分の世代はこれだったって仮面ライダーが誰の中にもいるんだよね。
その記憶は虚構なんかじゃない。
仮面ライダーは作り物なんかじゃなく、ライダーを愛するそれぞれの人の心の中に本当に生きてるのだ。
そういう劇中のメッセージは感じられた。
自分は特に平成1期ファンなんだけど、自分にとってライダーっていうのは、いつも弱いダメな自分を𠮟っては強く生きる事を教えてくれる(おもに剣崎一真)
たとえば自分たとえば隣で泣きっぱなしの友人とか、映画館に足を運んだファンが劇中で自らと重なるっていうね、いい演出だと思った。
でもあれだけクウガクウガ持ち上げるんなら、オダギリジョーさん出たら良かったのにね。
そんなわけでクウガなんである。
「仮面ライダークウガ」は平成仮面ライダーシリーズの第1作目である。
西暦2000年。
長野県山中の九郎ヶ岳で謎の古代遺跡が発見された。
ところが石棺の蓋をあけた事で目覚めた謎の存在により調査団は全滅させられてしまう。
捜査にあたった長野県警刑事の一条薫は自称冒険家の青年五代雄介と出会う。
友人の沢渡桜子が古代文字の解析を行っていた事から遺跡を訪れた五代は、そこで見た遺物のベルトから超古代のイメージを見る。
その後怪人の襲撃を受けた五代はとっさにベルトを装着して戦士クウガとなったんである。
そして彼が最も愛する人々の笑顔を守る為に怪人(グロンギ)と戦う事を決意する。
五代雄介(オダギリジョー)には両親は既になく妹が一人いるだけだ。
保育士をしてる妹みのりはアパートで一人暮らしをしているが、かなりのおっとりさんで兄に絶大な信頼を寄せている。
兄妹の親代わりは、喫茶ポレポレのマスター(きたろう)だ。
毎度ベタなギャグを連発してはほのぼのとした雰囲気を醸し出している。
きたろうさんが出てくるシーン好きだ。
五代はここに居候してて店が忙しいと手伝ったりする。
寅さんが旅から戻ってくる柴又の団子屋みたいな場所なのだ。
世界中を旅して周る五代は今は日本にいるけど、ある日ふらっといなくなってしまいそうな、そんな気がする青年である。
おおらかで能天気かなってくらいに明るいけど、掴み所がなくて変わってる。
そして飄々として見える彼が、実は強靭な意志と泣きたくなるほど優しい心を持っている事が、見ているうちにわかってくるのである。
五代雄介が戦う敵は怪人集団「グロンギ」である。
グロンギはかつてのショッカーなどと違い世界征服などは狙っていない。
大量殺戮を目的とする戦闘種族で、独自の言語「グロンギ語」を用いてコミュニケーションを行い、殺人ゲーム「ゲゲル」に興じる。
グロンギは冷酷で残忍で心の底から人殺しを楽しんでるんである。
このゲームを仕切るのは「バラのタトゥーの女」と呼ばれるグロンギで、なんとも謎めいた美女だ。
彼らには階級がありこれが非常に重要で、ゲゲルに成功すると階級が上がるけどなかなか難しいし、上は下を見下している。
人間態の時のファッションも上に行くほどセンスが良かったりする。
物語は五代雄介と、現代の日本に復活したグロンギを「未確認生命体」と呼称する警察組織が共闘する展開で進行する。
未確認生命体には番号が付けられていて、クウガは「未確認生命体第4号」と呼称されている。
作品にリアリティーを持たせる為に仮面ライダーという言葉は出てこないのである。
また実在の地名や時間経過の正確性にもこだわり、大人が見ても満足できるような人間ドラマになっている。
クウガには2号ライダーはいない。
最後までクウガが一人で戦う。
その代わり、一条さんという最強のバディーが登場する。
一条薫(葛山信吾)は警視庁未確認生命体関連事件合同特別捜査本部が立ち上がると、長野県警から出向してきた刑事だ。
一条さんはポレポレのマスターが「コート着たハンサムさん」と呼ぶなどかなりのイケメンである。
女にもモテそうだ。
だがしかし、この男は堅い!
真面目過ぎるんである。
隙もない。
仕事一筋なんである。
そして感情を表に出さない。
なんか殉職した警察官だったお父さんに憧れて刑事になったんだけど、殉職した日が自分の誕生日だったんで、それ以降は誕生日プレゼントは誰からも受け取らない事に決めてるんだよね。
知らずに誕生日プレゼントを渡そうとした婦警さんもいたけど受け取らなかったし、なんか不器用で頑固なのね。
一条さんは最初は五代を軽薄そうな奴だと思ってて、あと一般市民を戦いに巻き込みたくないっていう公僕の鏡みたいな人だから、五代を認めようとしなかったのね。
でも五代の中に自分と通じる物を見出してからは、彼の一番の理解者になる。
警視庁の秘密兵器のバイクとかお前が使えって勝手にあげちゃうし。
それは、この戦いには五代雄介が必要だし、彼が使ってこそ意味があるとわかってるからなんだ。
でも警察はクウガを「未確認第4号」と呼んでた位だから、五代に対して懐疑的な見方をする人もいる。
クウガが未確認生命体を倒した後の大爆発で、一般人に甚大な被害が出てしまった事もある。
するとマスコミに追及された警察が、責任逃れにあれは第4号の単独行動だなんて言って、クウガのせいにしたりするんである。
おのれ警察、五代くんがあんなに戦ってるのに!
一条さんは両者の間に入り懸命にフォローしたり、クウガの警察での立場を確固たる物にしようと尽力したり、五代の身体を気づかったり、常にクウガが戦いやすいようにと心を砕く。
一条さんにはわかってるのだ。
この強大な敵と対峙する事ができるのは五代雄介だけだという事を。
そして一条さんと言えばライフルだ。
未確認生命体出没の一報があれば二人は現地へ急行する。
五代はバイクで一条さんは車で向かい到着するや飛び込んで行く。
五代は変身するけど一条さんは生身の人間だ。
でも全然ひるまない。
そんなに撃ったらクウガに当たるんじゃね?と心配になるほどバンバン援護射撃する。
しかも相当な腕前。
クウガを見守り、五代が無事に戻ってくればホッと安堵した表情を見せる。
だが、無口な一条さんは気安く言葉をかけたりはしない。
二人は心が通じてるから言葉はいらないのだ。
一条さんが五代を支え、その力は最後まで強くて確かで揺るがない。
その力に支えられ五代は覚醒してゆくのである。
クウガの面白さは、五代雄介が様々の形態のクウガに超変身したり、覚醒して進化していく事でもある。
五代の戸惑いや成長や心の高まりとシンクロしながら、クウガは姿を変えてゆく。
だが一条さんは五代に対して屈託があった。
それはこの戦いに彼を巻き込んでしまった事だ。
ラスボスであるン・ダグバ・ゼバとの最終決戦に向けて二人は吹雪の中で向かい合う。
「こんな寄り道はさせたくなかった。君には冒険だけしていて欲しかった」
一条さんは思わず自分の心情を吐露してしまうんである。
クウガとン・ダグバ・ゼバの戦いは最後には変身が解け素手での殴り合いとなった。
楽しそうに相手を殴るダグバと涙を流しながら相手を殴る五代の姿は対照的だ。
きっと五代はこれまでも、マスクの下では泣きながら戦っていたに違いない。
そう思えば、一条さんでなくとも胸が傷むのである。
無慈悲な遊戯で理不尽にも命を奪われた人たちの悲しみの為に、皆の笑顔を守る為に五代は戦った。
その優しさを強さに変える為に彼は泣きながら歯を食いしばって戦ったのだ。
昨今の仮面ライダーのバトルシーンはCGのせいもあってきれいで華やかだ。
それは時代の流れで別に悪い事ではないのだが、クウガがなんか地味に見えてしまう。
クウガは革新とか原点とか色々言われるけど自分はいぶし銀だと思ってる。