舞台「仮面ライダー斬月」ー鎧武外伝ーを見ました。
仮面ライダー鎧武の放送からもう6年、満を持しての仮面ライダーの初舞台化です。
記念すべき初の演劇作品化に選ばれたのは、鎧武の中に登場する仮面ライダー斬月。
我らがメロンの君でございますよ~
さてお話はと言いますと、物語の舞台は貧困が進み止まらない紛争によって衰退するトルキア共和国です。
この国はかつて、巨大企業ユグドラシル・コーポレーションによるプロジェクト・アークの実験場でした。
すでにその役目は終えたはずのその国で、何か異変が起きているとの情報をつかんだ呉島貴虎は8年振りにトルキア共和国に潜入します。
ところが突然発砲された貴虎は、巨大な穴の底に広がる地下世界・アンダーグラウンドシティーに落下してしまうのです。
そこではたくさんの少年たちが生き残る為の殺し合いを繰り広げていました。
その中には、戦極ドライバーにロックシードを使いアーマードライダーに変身する者もいたのです。
貴虎は落下の衝撃で記憶喪失となり自分の名前すら思い出せなくなっていました。
チーム「オレンジ・ライド」のリーダーのアイムによって貴虎は助けられますが、突如見た事もないアーマードライダーが現れその強さにざわめきます。
しかし貴虎はかすかに残る記憶からそのアーマードライダーが「斬月」である事を思い出していました。
アイムたちに協力を頼み、貴虎は失った記憶を取り戻す為の手がかりであるアーマードライダー「斬月」をおびき寄せようとします。
その同じ頃、貴虎の行動を密かに監視する男がいました。
その男は、ある理由から貴虎に復讐しようとしていたのです。
といったストーリーでございます。
私、この仮面ライダー初の舞台化を知った時、真っ先に思ったのは変身シーンはどうするんだろうと言う事でした。
だって鎧武ですよ。
鎧武と言ったら驚愕の「フルーツ」と「甲冑」なんですから。
その変身シーンは、モチーフのフルーツが空中から落下し、ライダーの頭にすっぽり被さって果汁をブシャーって飛ばしながら甲冑へ展開するという衝撃的なものなんです(笑)
とは言え、そんなポップな変身なのにストーリーはめちゃめちゃシリアス。
舞台も同様に人間ドラマにスポットを当てたものとなってますから、変身シーンとかは映像を使ったりしてそれなりでした。
最近の仮面ライダーはCGを多用してますから、まあこんなもんですよね。
ただクライマックスで、斬月がカチドキアームズに変身した時は会場がざわめきましたね。
主人公の呉島貴虎役の久保田悠来さんは変わらずテレビシリーズの輝きをそのままにかっこよかったです。
鎧武の世界観では、地球はあと10年でヘルヘイムの森に侵食されてしまうと言われています。
ヘルヘイムの森に実る果実を食べると人間はインベスになってしまいます。
ただし戦極ドライバーをつけていれば果実を食べなくてすむので、インベスにもならずにヘルヘイムの環境下でも生きられます。
しかしながら、戦極ドライバーを量産しても10億個が限度で地球の総人口の70億人分までは用意できません。
そこで60億人は抹殺してしまおうという恐ろしい計画が、プロジェクト・アークです。
貴虎はそのプロジェクトリーダーでした。
この舞台は鎧武の後日談なのですが、トルキア共和国で記憶喪失になった貴虎は8年前の過去が掘り起こされ、物語は現代と過去を行ったり来たりします。
沢芽市にあったユグドラシルタワーのスカラーシステムは、葛葉紘汰が激怒して破壊しちゃったけどトルキア共和国では使われていたんですよね。
ほんとに怖い話です。
国を焼き払われ、親を殺された少年たちは地下に潜って生き延びていたのです。
貴虎はノブレスオブリージュの精神ですべての責任を自分で負い、60億人を切り捨てる罪を一身に背負う覚悟を持っていました。
けど10億人しか救えない事を苦悩してもいました。
そうやって貴虎の物語として見ていると、いつしか鎧武の物語そのものをなぞっている事に気がつきます。
アイムは紘汰だったのね、グラシャは戒斗だったのねって。
それがよく練れててうまいなあって思いました。
群舞もアクションもまたテレビとは違う魅力でとても面白かったです。
そして久保田さんはやっぱりみんなの兄さんでした。