akのもろもろの話

大人の漫画読み

読んだ本の感想まとめ(箇条書き)

最近の読書傾向ですが、ちょっと何を読んだっけか?ちっとも思い出せない。

今は読書メーターとか使ってないし、何も書き残してなかったので、読んだはずの本の題名はもうすっかり忘却の彼方でして、けっこうヤバイ。

とりあえずkindleのライブラリと購入した本を見ればいいわけですが、kindleはともかく、紙の本はもう本棚に入りきらずあたかも天に満ち地に満てるがごとき充満し、要するにあたしの部屋は漫画と本だらけのちょっとしたゴミ屋敷なので探すのが大変。ってか、めんどくさいなーもー。

っちゅーことで、最近読んだはずの本の感想をまとめておきます。ほとんど自分用ですけどね。

「ハンチバック」市川沙央

第169回(2023年)芥川賞

・中学2年で発症した先天性障害のため、湾曲した背中と気管切開した喉を持ち、グループホームで暮らす身寄りのない(お金はある)40代女性が主人公

・自らをせむし(ハンチバック)の怪物と言う彼女の全く共感できない願望が、「妊娠して中絶したい」だったから、馬鹿かおめえ、と思わずつぶやいたよ俺は。「生まれ変わったら高級娼婦になりたい」でとどめておけばよいものを・・・とっても攻撃的でグイグイ来る人

・若い介護士と互いの弱みを取引するが、精液で誤嚥性肺炎を起こすというビックリしたなーもーの結果には苦笑

・紙の本を一冊読む度少しづつ背中がつぶれてく気がしてるのに、「やっぱ本は紙だよね」などと電子書籍を貶める健常者はノンキでいいって(あたしの事!?)

・考えた事もなかったことばかり

「月の満ち欠け」佐藤正午

第157回(2017年)直木賞

・適当に直木賞受賞作を読んでみた

・「ちょっと死んでみる」と書かれた遺書の話や「生まれ変わり」というテーマはありふれてはいるが好み

・不慮の事故で死んだ女性が愛する男に会いたい一心で3回も転生する話。3回だよ!短い間に!生まれ変わり過ぎじゃね?

・そりゃ若く死んで無念だったと思うが、自分の子どもが男に会いたいが為に転生してきた誰かだと知ったら、もう怖くない?こんなの自分の子とちゃうわ!と思うのが普通ではないだろか

・女性が生まれ変わった幼女が、中年オジになった男に会いたがるのがめっちゃキモい

・「こういう甘ったれた話書くのは絶対男だ」と思ったらやっぱ男性作家(けっこういい年)

「赤目四十八滝心中未遂」車谷長吉

第119回(1998年)直木賞

・直木賞受賞作三連チャン

・映画が観たかったけど原作だけ読んだ

・独特の文体がクセになる

・大学出てちゃんとした会社に勤めてた人生を捨て、尼崎のただただ陰湿なボロアパートの一室で、病気で死んだ牛豚の臓物を日がな一日串に刺す男が主人公

・仕事を持ってくる人もアパートの住人も裏社会の訳あり風で怖い人ばかりだからオドオドしちゃう

・恐れと若干の好奇心で彼らを見ながら、自らも破滅していく人生に近づいていきたい主人公の気持ちはわかるような気がした

・しかし底辺に落ちたつもりでいても、こいつは自分たちとは違う人種だと思われてる

・歌舞伎の演目みたいな名の「赤目四十八滝」は三重県にある観光名所で、主人公とアヤちゃんが死に場所を探して彷徨するが心中は未遂で終わる

「幕府歩兵隊~幕末を駆け抜けた兵士集団」野口武彦

幕府にも奇兵隊のような歩兵隊があったのねー

・Amazonの新品価格が6259円てアータ!ちなみに神保町で350円で購入

・幕末の戊辰戦争ではいずれも薩長は最新装備で乗り込んできて、幕府軍は井伊の赤備えに代表される旧態依然の甲冑・刀槍という出で立ちで銃も旧式。だから負けたんだろー!

・と思ってたら、幕府軍にも近代装備の洋式軍隊「幕府歩兵隊」が存在していたって話で非常にユニークな集団だったらしい

・徒歩で重い銃をかつぐ歩兵に、プライドばかり高い江戸の旗本がなりたがらない為、兵員の多くは江戸の無頼の徒だった

・戦慣れしてないのと現場のいい指揮官がいなくて最初は負けてばかりだったが、実戦を重ねて強く成長

・ってか、みんな他に行く所も食うアテもなかったから、しぶとく居残ってるうちに自然発生的に強くなり箱館戦争の頃には一種の傭兵集団となっていた

・「幕府歩兵隊」の誕生から終焉までの変遷が書かれているが、個人の記録はまともに残ってないそうだ。敗北した側の歩兵の資料なんてないのだ

「吉田松陰 留魂録」全訳注 古川薫

遺書文学というカテゴリーがあったのか!

・吉田松陰の名は知っていても何をした人なのかこの年までよく知らず、せいぜい黒船に密航しようとしたエピソードくらいのあたくし

・天瀬シオリの漫画作品「松かげに憩う」を読んでにわかに興味を持ち松陰について勉強したく読んでみた

・古川薫は山口出身の小説家で、吉田松陰はじめ山口県の関連人物を描いた著作も多数

・「留魂録」は松陰が江戸で処刑される直前に、松下村塾の弟子たちに向けて書いた遺書だ。原文だと難しいが、古川先生の訳がついてるから大丈夫ですぞ

・弟子たちへの最後の訓戒や死に直面した松陰の死生観が記されていて、遺書文学の傑作と言われるだけあり感銘を受ける

・中でも、人の一生を四季にたとえ「10歳で死ぬ者には10年の四季があり百歳で死ぬ者には百年の中に四季がある。自分は30歳で死ぬが30年の中に四季が巡り花が咲いて実をつけたはず。誰かが自分の志を受け継ぎ自分の種を蒔いてくれたら嬉しい」など、死を前にして後悔もなく誇りを持ったこんな文章が書けるなんてすごいよ

・「君たちはどう生きるか」と松陰先生も言ってる気がする

「あゝ、荒野」寺山修司

強くなりたい

・60年代のネオン街の荒野たる新宿を舞台にした「明日のジョー」みたいなボクシング小説。寺山修司唯一の長編小説

・吃音で対人恐怖症のバリカン健二と少年院出で強気な新宿新次を中心にこれぞ寺山修司って感じのクセ強な登場人物ばかりの人間模様

・荒野は単に新宿をさしているわけではなく、誰もが孤独で荒野は至る所に潜んでいる。人と人を繋ぐ手立ては拳だ。ボクシングという殴り合いのコミュニケーション

・「観客は立ち合いを許された覗き魔である」

・脳が痺れるなー。ラストは胸一杯になりながら読んだ

・没後40年今も色あせない寺山修司の世界。読む者を非日常な世界観に誘う