世はまさに満開の桜です。
ブログを続けるのに最も難しい事はモチベーションの維持だと思う。
だからコンスタントにブログを更新出来てる人ってすごい。
俺なんか、仕事で疲れてるとか時間がないとかネタがないとかアドセンスのポリシー違反またきたよとか、そもそもこんなブログ誰が読むんだよとか自虐的になって、なんかもうめんどくさくなってやめよっかな~とか結構いつも考えている。しょうもねえ
まあ、こちとら趣味でやってんだからと、昔先輩ブロガーの人に言われた「休めばいいのよ、やめさえしなければいいのよ」という言葉を思い出しては自分を甘やかす事で生き延びてる次第でございます。
さて、偉大なる萩尾望都先生の画業50周年を記念して発売されてるプレミアムエディション・シリーズでして。
このシリーズは原画を新たにスキャンし、従来の印刷では潰れてしまった細い線やトーンなども美しく表現する事を目指したそうで、実際見てみるとクオリティの高さにいたく感心しました。
雑誌掲載時のカラーページや扉絵もそのまま、B5判サイズなのが当時の雑誌を読んでるかの如くの臨場感で、萩尾先生の繊細なタッチが生き生きと再現されててうっとりです。
いやホントにね~、この人は天才なんだと改めて感じ入りました。
大きく重いのが難点で寝転がっては読めないです。
正座して拝読いたしましょう。
お値段もお高いですが、とっておきの愛蔵版としてファンなら揃えておきたいものじゃよ。
と決心し「ポーの一族」「トーマの心臓」を買い揃え今回は「メッシュ」でございます。
「メッシュ」は1980年から4年間ほどプチフラワー(小学館)にて連載された作品です。
舞台はパリで主人公はメッシュと呼ばれる美少年ですねん。
なぜにメッシュというのか?
金髪で銀のメッシュが入ってるように見える髪を持つ事からついたあだ名なんです。
メッシュはその綺麗な顔には似合わないストリートのチンピラでして、ボスのヤクを盗もうとしてリンチされ腕を折られ街を彷徨ってた所を、貧乏画家のミロンに拾われて物語が始まります。
ミロンは優しいおおらかな青年で行く所がないなら好きにしろと言うので、メッシュはなんとなく彼のアパートに居ついてしまいます。
思いがけず2人は相性が良く同居生活が始まります。
ただメッシュの周囲にはへんな男がうろついたり、悪夢にうなされたり、あいつを絶対ぶっ殺してやるとか物騒な事を口走るのがミロンは気にかかります。
裏社会の大者サムソン(メッシュの実父)に殴られて帰ってきた時、ミロンに心配したと言われ、たったそれだけの事でうれしくなってしまう孤独なメッシュ。
オリジナルが売れないので贋作を描いてるミロンの後ろ姿を見つめながら「あんたのオーラが見えるよ」と笑う子どものようなメッシュに、ミロンはふと天使を拾ったんじゃないかと思ったりします。
ミロンの芸術家っぽい乱雑な感じのアトリエ兼部屋や流れるレコードや窓から見える何気ない風景なども、自由なパリの空気感に溢れとてもいいのです。
「メッシュ」は萩尾先生が30代になって描いた作品で作風の過渡期だと言われています。
「ポーの一族」の頃のタッチを最愛するファンも多くいると存じますが、この時代の卓越した画力は素晴らしいです。
メッシュは不幸な生い立ちから父親を憎み殺したいと思っています。
「あいつを殺せたら後はどうなってもいいんだ。あいつがいる限りオレは人間になれないんだ」と深く思いつめているんです。
その一方で、心の奥底では父親を求め愛されたいという切実な思いが潜んでいるんです。
奔放な母と離婚し息子は自分の種じゃないと疑った父から寄宿学校に追いやられた幼い時「あいつが学校に来て名前を呼んでくれるのを待っていた。そうしたらオレは飛んでかけて行って父さんって飛んでかけて行って・・・」とその時の寂しさをミロンに語る場面はいつ読んでも泣けますわ( ノД`)シクシク…
かつてはメッシュの美少年的魅力や軽妙なストーリー展開やパリっぽい雰囲気に気を取られていたけど、改めて読むと人間心理の掘り下げがなかなかエグイんだよね。
傷ついた子どもであるメッシュは、兄のようなミロンと暮らしながら様々な人たちと出会い成長していくわけですが、人っていうのはなんて不条理で欺瞞に満ちたものでしょう。
主要人物だけでなく物語にかかわる人々はみんな多面的で、完璧に見えても内面では弱さや脆さを抱えています。
時間軸が交錯し、断片的に語られる過去の出来事がジョジョに現在と結びつき全体の輪郭を明らかにしていく手法です。
父親を殺したいと望んでいたメッシュは、最終話では娘を産んだと信じきってる母親に再会します。重い。
ってか、精神を病んでるとは言え、捨てられたと思ってる母親から「その子嫌い」と疎まれるメッシュの気持ちはどうなん。
メッシュの女装は本編で繰り返されるモチーフで、女性に間違われるのを本人も面白がっており、似合いすぎて性自認がわからなくなってる時もあるようでして、つまりまだまだ未分化の子どもなんであろうな。
子どもには安心できる居場所が必要なのです。
だからミロンが見せるメッシュへの温かさは、メッシュだけでなく読み手をも癒します。
ミロンがいてくれてよかったと何度も思います。
この作品のテーマは、単なる恋愛ものや家族のドラマという枠組みには収まらないもっと普遍的なものです。
人の根源的な孤独や過去の心の傷が現在に与える影響、それでも人が他者との繋がりを求める姿を描いています。
少女漫画のジャンルを超えた文学作品としての高さを備えておりますですよ。ハイ